第3話  春と普通な男子高校生と一目惚れ 



俺はなんとか、始業式までには間に合い、そのまま1年の旧クラス教室へと向かうことが出来た。


新2年生のクラス発表は始業式が終わり次第発表される感じだ。


と、あっという間に始業式が終わり、俺は新クラスの2年C組に入る。


入ってからすぐのことだった


「 おー、麦ちゃんじゃん! 今年は同じクラスか! よろっちよろっち! 」


「 げぇ、琥太朗と同じクラスかよ……終わったかもしれんわ 」


「 ひどない!? 俺チャン 泣いちゃうよ!? 」


俺の数少ない友人( というより悪友 )の寺田琥太朗が今年は同じクラスになったらしい。うん、泣こうかな?


俺の通う高校は比較的校則が緩いため、琥太朗はバリバリに金髪に染め、身だしなみは悪すぎるからか、はたから見ればガチのヤンキーに見える。


だが琥太朗は顔もイケメンで、成績優秀。懐が深く、人柄も良いためか、校内の女子から告白されまくってるとの噂が後を絶たないのを情報網が薄い俺でも聞くほどだ。


一度琥太郎に身を引いてしまったが、俺は何気にこいつのことを色々と信頼しているし、あいつもあいつで俺のことを信頼しているからな。愛しているぞ、琥太郎。

いや、冗談だからな?


と、そんなこんなでチャイムが鳴ったので俺は席に着いた。


新担任の話をぬぽーっと聞きながら、俺は思う。


俺はいたってなんの特徴もない高校2年生。大麦拓。


琥太郎のように、成績が優秀でもないし、懐が深いわけでも無い。


つまり普通な人間なんだ。


けどなぜか、そんな普通な俺だけど、今年は何かが変わる。


そんな気がしてた。


そして、その予感を俺は新担任の声から感じ取る。


「 実はこのクラスに転校生がきてます! さあ、入ってらっしゃい! 」



※※※



教室のドアから入ってきたのは一人の女子高校生だった。


サラサラとした黒髪のロングストレート、前髪がぱっつんとしている。顔立ちもかなり綺麗だ。スタイルもかなり良いためか、制服が似合い過ぎている。


認めよう。俺は彼女に一目惚れをしていたのだ。


余りにも僕とはかけ離れた存在で、まるで、高嶺の花のよう。


見とれてた、俺は彼女の自己紹介をこれっぽっちも聞いてなかったのは、僕だけの話。


あと、そんな彼女と一度目が合ってしまったのも、僕だけの話。


高校2年生の春。今ここで、1つの恋が始まる。













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