第22話 双子

 世界が終わる、その日。

 残ったのは、君と僕だけだった。。

 こんな事になるなんて…。

 入学式の日。

 大学の入り口で君と出会ったあの日には、想像すらしなかった。

 災害か隕石か、宇宙人か。

 何も分からないままに、世界はあっという間に滅びていった。

 その中を、君と僕は生き延びた。

 君がいつも僕を助けてくれたんだ。

 でもいつからか、それが不思議に思えてきた。

 まるで君だけが、世界を滅ぼしてるのか分かっているみたいに。

 それを聞くことができないまま、とうとう世界には君と僕の二人だけになった。

 もう逃げるところもない。

 隠れるところもなくなった。

『お姉ちゃん』

 そこに現れたのは、君と同じ顔をした"何か"だった。

「遂に見つかっちゃったか」

『サボりもいい加減にして。交代時間からやりなおしてよね』

「分かったわよ。それじゃあね。とても楽しかった」

 そして、君は…いや、以外の全てが消えた。


 入学式の日。

 僕は改まった気持ちで、大学の入り口を通った。

 でも、何かが欠けているような気がしたが、僕はそれが何か分からなかった。

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