第10話 悪魔

 私の村を、悪魔が襲った。

 私の大切なもの全てを、悪魔は焼いた。

 全てが燃える中で、私だけが残された。

 悲しみの底にいた私の前に、君が来てくれた。

 私は、思わず君を抱きしめた。

 その時、君が私の全てになった。

 君が寄り添い、支えてくれたから、

 時折襲ってくる寂しさにも耐えられた。

 一人じゃないという幸せをもらうことができたから。

 私はもう大丈夫。

 それを、改めて君に伝えよう。


 ~


 全てが燃える中、君はただ泣いていた。

 僕が近寄ると、すがり付くように君は僕を抱きしめた。

 その時に決めたんだ。

 君に寄り添い、支えてあげよう、と。

 ささやかな幸せを一緒に喜ぼう、と。

 時折訪れる寂しさから守ってあげよう、と。

 悲しみを乗り越える強さを持たせてあげよう、と。

 そして、その日が来た時に教えて上げよう、と。

 君の大切なもの全てを焼いたのは、


 悪魔なんだ。


 と、いうことを。

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