第9話 夢現

 道を歩いていたらさ、羽が生えた犬に出くわしたんだよ。

 そこで分かったんだよ!

『あ、これ夢だ』ってな。

 夢の中で自分が夢を見てる事に気づくとさ、夢から覚めることができなくなるって話聞いたことないか?

 マジで焦ったぜ。

 夢から覚めたいなら、文字通り目を覚ませばいいんだろうが、いつもやろうとしてやってる事じゃないから、どうやるかなんて知る訳がないしな。

 出口が目の前にあるのに、開け方が分からないんだから、まさに絶望的だったぜ。

 まぁ、結局は見ての通り目覚めることはできたんだが、実際はどうやって目を覚ませたのかは覚えてねえんだ。

 漫画みたいに顔を抓ったり、敢えて夢の中でも寝ようとしたり、思い切って自殺しようともした気がするな。

 残念だったぜ。

 起きれる方法が分かれば、もっと夢を夢と分かって遊ぶこともできるかもしれないのにな。

 …なぁ、そういえばさっきから気になってたんだが。

 俺の話聞いてるあんた誰だ?

 それに、あんたの背中から生えてるそれって…、何だ?

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