第8話 回線
私が生きるこの
ブラザーズ。
ザ・ソイレント。
ハーモニー。
強大な力を保有する
芸術。宗教。嗜好。
他者の生命や法律に対する侵害がない限り、それを尊重し、個人的な嫌悪のみを理由にそれらを弾圧することは許されなかった。
若干の窮屈さを代償にして。
私は電話をかける。
この
「ごめん。さっきは出られなくて」
「良かった。出撃はまだなんだね」
「もうすぐだよ。そっちは」
「君の七回忌が済んだとこ。君の友達も来てたよ。ほんとに仲良しだったんだね」
「あいつか。君からお礼言っといて」
「分かった。今回も危ないの?」
「安全な任務なんてないさ。でも、必ず帰ってくる。君の墓参りにも行きたいしね」
「同じ命日なんてやだよ」
「今もある意味そうだけど」
「それもそっか。・・・ねぇ」
「うん?」
「あの時事故にあったのが、私か君かってだけでこんなにせかいが変わるなんてね。もしかして私。何か凄い存在なんじゃない?」
「凄いねぇ。なら今何やってるの?
「いいえ。しがないサラリー」
「平和で何より。じゃあ、行ってくる」
「うん。気をつけてね」
僕は電話を切った。
この
僕が生きるこの
ブラザーズ。
ザ・ソイレント。
ハーモニー。
強大な力を保有する三つの巨大企業の
正義。報復。利益。
戦う理由はいくつもあるが、僕を含めほとんどの人間は、ただ戦わされているだけなのだろう。
殺し合うことを、代償として。
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