第5話 まちあわせの距離

 まちあわせそうだでーとというやつ


「えっと、ダブルデート?俺と先生と、ススムとマヤ先輩?」


「違う」


「オレも飛んでついてきてるっす」


「魔王討伐って聞いたわ」


「先生!お休みにすいません。魔王討伐は丁重にお断りしました。新聞を読んでたら新しくオープンするって」


「水族館ね?」


「この世界を知りたいですが、俺が倒れた時のために先生を」


「どんなとこ想像してんだよ」


 それはこんなのとか、ススムが言ったものをマヤがスラスラとイラスト化する。マモルよりも魚に近い人や、手足の多い…


「やっぱりススム、俺らをからかってるんだろ?」


「てことは?」


「その通りっす」


 水族館では水辺や海に住む生きもの達が、気持ち良さそうにショーを披露する。もちろん人間に指示されているわけではない。お金はショーや彼らの種族のための快適空間にと支払われる。どちらかというとサーカス寄りの施設だった。お花見もしよう、と桜公園へ向かう一行。


「ススム君もジュースどうぞ。みんなでわいわいして楽しいわね、私も来てよかったわ」


「楽しそうで何よりです…桜は変わらないなあ。先生、桜人間とかは?」


「いないわ。ススム君、理由は学校で習うの」



 突然の桜吹雪、彼の視界は目を閉じたためゼロになる。


「お前、泣いてるのか」


 マヤが彼に聞く。


「先輩おかしいんだ。帰りたくなかったのに、またここに戻って来ちゃった」


「ススム、ススムなのか!?」


「おう!マモル、お前のヒレかっこいいな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る