第4話 はじめましての距離

 はじめましてススム君。僕はこの世界の案内役さ。


「あ、案内役!?女神のところに案内してくれ」


 女神?女神ってどの女神様かな?


「この世界を作ってる女神!」


 え!?本物の女神様!?


「知ってるのか?会わせてほしい」


 それは無理だよ。僕は彼女の意のままに動く人形みたいなもんさ。


「じゃあ女神は何て言ってるんだ?」


 私を探すのはやめなさいと。筋書きどおりに進みなさいと。


「なんだよ、それであんたがどっちが筋書きか教えに来たのか?」


 そのとおり、ススム君。君は女神のそばで働くことを断った。この世界を女神は懸命に作ってる。それを壊したいの?


「女神!聞いてんだろ!?壊すとか壊さないじゃない。そこに生まれたら、あとはもう生きたいだけなんだよ。何が悪い。壊してるのはお前の方だ!」


 こら!僕が怒られるからやめて。ススム君、君が選ばれたのは少なからず世界に対する不満があったから


「あった。そんなの誰だってそうだろ。タイミングよく俺がつまらないって言っただけだ。そうだ!この世界にいたススムはどこにいったんだ?マモルが心配してた」


 そりゃ女神様から禁じられている質問です、ってやつだね。


「お前案内役じゃねえのかよ」


 君はこのあと仲間を引き連れ、復活した魔王と戦う。勝てるのは君しかいないんだよ、ススム君?


「俺は魔王を倒さない。この世界のススムが決めることだ」


 …はじめましてススム君。僕はこの世界の案内役さ。


「はじめましてそれじゃさよなら」

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