第3話 はじまらないの距離

 はじまらないのそれははじめたくないの


 新聞部の部員はススムとマヤとハヤトの3人だけだ。ハヤトには羽が生えている。マヤが話が始まらないぞ、とススムに耳打ちする。


「失礼だけど、ハヤト飛べるの?」


「ススムいいの、飛んでも?」


「いいぞ」


「やった許可おりた!」


 バサバサと羽ばたいて天井に足をつく。ぶらんと逆さまに、コウモリ人間だ。


「なるほど、やっぱりだめ降りてきて」


「ススムのケチんぼー!で?何?せんぱいも怒らないし」


「はっ!猫にコウモリ!?」


「ススム?大丈夫、現代は血が濃くないし食糧も豊富。狩りもスポーツだ」


「ススムやっぱり変?魔女みたいなチームだって」


「それほんとに俺が言ったか?お前だろ?」


「うん、さすが騙されないね」


「ハヤト、ススムはかくかくしかじかで」


「ええー!?」


「便利だな」



 ススムは早速パソコンで記事を作る。取材に印刷、撮影やイラストを担当するのが2人だ。もちろんこの世界の創造主、女神探しはメインの記事ではない。


「さすがに頭おかしくなったっていわれるからな」


「オレは逆にいいと思うけどね、『大スクープ!突然異世界へ!!人間だけの世界に帰りたい』とか。人間だけなんてそれこそファンタジーじゃんって思うけど」


「逆にそっか。うーむ、少しスペース広げてもいいですか?」


「いいよ。メインはそのまま新生徒会長の話でいいんだよな?ススム」


「はいこないだ撮影会したし、」


「覚えてるんだ」


「記憶喪失じゃないって」

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