【続報】千葉県の野望

第1話

　全ての発端は、肥前ロンズさんのエイプリルフール企画。

　https://kakuyomu.jp/works/1177354054892349877/episodes/16816452219426205202

　それから始まる一連の流れをまとめたのが、雨 杜和orアメたぬきさんのこちらになります。

　https://kakuyomu.jp/works/16816452219427045148

　全ての始まりは、佐賀県独立し、肥前さが国となったこと。一部では、その裏に宇宙人の暗躍ありとの噂がまことしやかに囁かれたが、それを信じるにせよ信じないにせよ、まるで呼応するかの如く、騒ぎは瞬く間に全国へと広がっていった。

　そしてそれは、佐賀から遠く離れた千葉県も例外ではなかった。

「独立とは、佐賀も思いきったことをやったものだ。だがこの混乱、当分の間は続きそうだな」

「つまりそれは、我々にとってはまたとないチャンスということ。いよいよあの計画を最終段階へと移す時が来ましたな」

　各県の情報を仕入れつつ不敵な笑みを浮かべるのは、千葉県知事及び副知事だ。

　ここは、千葉県庁の地下深くに築かれた特別室。そして、その壁にかかったモニターには、千葉県各所の映像が写し出されていた。

　東京ディズニーランド

　東京ドイツ村

　ららぽーと東京ベイ

　これらは全て、千葉にある施設だ。しかし他県民がこれらの名前を聞いた場合、多くが同じ疑問を抱くという。

『お前、なんで千葉県にあるのに東京って名前つけてんだよ』

　千葉県民は、いったい何度この言葉を言われたことだろう。時にバカにされ、嘲笑を買い、はては東京の植民地などと言われてきた。

　しかし、それでも千葉は数多くの施設に東京の名を冠するのをやめなかった。毎年、東京モーターショーだって開催している。

　いったい何が千葉をそうまでさせているのか。他県の者達が言うように、東京に寄生しているのか、媚をうっているのか。いや違う。一見自らのプライドを捨てたかのようなこの行為は、全てある野望のために行われていたものだった。

　不敵な笑みを浮かべながら、千葉県知事は言う。

「これだけ東京を名乗る施設があるのだ。もはや、我々が東京を名乗っても何の問題もあるまい。いや、我々が東京を名乗らずしてどうする」

　千葉県の野望。それは我が国の首都である東京を乗っ取り、自らが真の東京となることであった。

　千葉県の各地に東京が溢れているのも、全てはこのため。他県から笑われながらもじっとそれに耐えていたのは、油断させるための罠だった。

　こうして虎視眈々と東京の隙をつくチャンスを伺っていたのだが、佐賀が独立し、全国が混乱に満ちた今が、まさに最大の好機だった。

「今こそ東京を乗っ取る時。千葉県民よ、戦いの時は来た！」

　かくして、千葉県の東京乗っ取り計画は、最終段階へと入った。

　この後、現在の千葉が東京と名を変え、元々の東京をも吸収し、我が国の首都となる。さらにはディズニーランドにあるシンデレラ城が国の最高機関となるのだが、この時そんな未来を予想できるものは、他県民には誰もいなかった。