第6話 大鎌
次の日、私は静かに目を覚ました。
小鳥がさえ近づくことはない場所に家は建っているので、
日の光と体内時計で朝を知る。
私は起きると、ベッドを直したり歯を磨いたりした。
「おはよう」
そんなお父様の声が聞こえてくる。
朝食の準備を済ませると着替える。
だが、着替えるのは制服ではない
「どうしたんだい、ロンダ?。今日は処刑はないだろう」
朝ごはんを食べにテーブルに行くとそんなことを言われた。
なぜ、そんなことを言われたのかは単純だ。
私があの黒い死神の正装。ドレスを着ているからだ。
「ええ、ちょっと気分です。」
「そうかい、学校行く前には着替えとけよ」
「はい」
そう言ったが着替えないまま家を出ていった。
異色、
その一言に尽きた。
校門から校舎へと進むための長い道を歩いていた。
注目を集め皆を恐怖のどん底に落とす。
肩に担いだ大鎌。
ドレスのスカート部分。
どちらも洗っても、洗っても落ちない人間の血が何重にも重なって黒ずんでいる。
大鎌は、家を出るときに持ってきたものだ。
愛用の両刃の鎌で内側で切るのも外側で切るのもできる優れものだ。
しかも、とても切りやすい。
ここに持ってくるのは大変だった。
人通りの少ないところを通って持ってきた。
そんな大鎌と私は同級生から見たら、ただただ不気味だ。
いつか、この女に殺されるのかもしれない、
そんなことを心の中で考えているのかもしれない
「おい、お前どうしたその服と鎌!」
ディアルガ王子が声をかけてきた。
「おはようございます!王子。昨日、シルビィア様に言われた通り着てきただけですよ」
「シルビィアが?」
「ええ、『あなたなんて、制服じゃなくて、真黒なドレスと鎌がお似合いよ』そう言われたので」
「そうか、にしても怖いな」
「そうですか、わたくしの大切な相棒なのですがね」
「いや、この真黒な返り血とか、鋭角な先端だとかがな」
「確かに、ですがそれが美しいですよ」
「そういうものなのか、」
「そういうものなのです。」
「そうか、」
そう言うとただ黙って、教室めがけて歩き始めた。
注目は当然集まったがシルヴィアの名前を出すとそれ以上何も言われなかった。
教室に入るとカリーナがいた。
「どうしたのその服?」
「これ、処刑するときの服」
周りの人間が一歩私から離れて行った。
「制服は?」
「家、」
「どうして」
さっきと同じことを説明せると納得した。
「でも、先生がどういうか?」
「それなら大丈夫!」
「事実は昨日職員室に呼ばれた時、許可とったから」
「よく却下されなかったな!」
「シルビィア様の名前と剣の練習があるから許可された。」
そう、実は一時間に剣の訓練がある。
ここでは男子だけではなく令嬢たちも参加する。
これは、護衛の騎士がどんなに大変なことをしているかを身に持って知るために騎士団からの要請で始まったそうだ。
そんなこんなでホームルームが始まった。
教室は異常な緊張感に包まれていた。
皆の視線はすべて私に向けられていた。
しかし、先生だけは笑っていた。
一方、シルヴィアは倒れそうになっていた。
無理やり、倒れないようにしているがそれはもう時間の問題だろ
私は、ふざけて机と机の間に置いた鎌を少し上げて床に叩いた。
カァーンと、鉄の持ち手と木の床が鳴り響いた。
教室にはより一層、緊張が走った。
校庭に移動した。
一時間目の始まりだ。
各自が剣を持っているが私だけは鎌だ。
「王子、わたくしと組みませんか?」
「いいぞ、やろう」
「待って、私も入れて」
こうして、私とカリーナそして、王子。
この3人でやることになった。
「では、とりあえずわたくしと王子で」
「ああ、やろうか」
高く、大鎌を振り上げた。
カリーナの「はじめ」の合図とともに始まった。
シュッ、カチーン地面の堅い音が鳴った。
降り下げたがやはり逃げたようだ。
だが、すぐに横に振る。
サーと、空気を着る音が流れる。
すると、今度は剣でとらえてきた。
鉄同士のカンという独特の音が鳴る。
「どうですか、」
「まあまあだな」
「そうですか、なら」
私は、勢いよく引いた。
支えとなっていた鎌が消えて、王子は一瞬よろついた。
私はそのすきを逃さずに押し込んだ。
しかしまた防がれてしまった。
「さすが王子」
「これくらいはできて当然」
「そうですか、ではなぜ一瞬よろけたのでしょうね」
「さあ?」
鎌と剣のぶつかり合う音が響きわたる。
いつから誰しもが見るようになっていた。
「チッ」
私は軽く舌打ちをすると、鎌を振り上げた。
王子はチャンスだと思って、一気に間合いを詰める。
だが、私は少し振り上げたところですぐに元に戻す。
すると、剣をちょうど内側でとらえた。
そして、勢いよく引くと、
ゴキ、すごい音が鳴って、剣は空に飛んだ。
首に鎌を当てる。
「こうさん」
ディアルガ王子はそう言った。
乙女ゲームの死神RIPer学園生活。我、処刑人だが大鎌でいじめだろうが切り伏せている少女はヒロインに姉様と呼ばれ王子にも愛されるがヒロインと王子が付き合ってほしい 藍空べるつ @555hertzp
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