第5話 職員室

「何言っているんですか!」


そう強くカリーナが、言ってきた。


「どうしたのかしら、カリーナ?」


「いや、なんでロンダは、王子様にあんなこことズバズバと言えるの?」


「あんなことって?」


「え、例えば首をはねるとか、」


すると、私はカリーナに近づいた。


「それはね、わ、た、く、し、が、こわーい死神だからなのよ」


耳元でささやくように言った。


「もう、ちょっと何しているの!!!」


カリーナは、顔を赤く染めて言ってきた。


「あら、ごめんなさいね。つい、可愛かったものから、」


「それじゃあ、まるで死神じゃなくて、小悪魔じゃない」


「小悪魔か、地獄に連れていくのは死神と同じだわ」


「たしかに」


フフッと、二人とも笑いあった。


「おい、俺をハブいて、いい雰囲気になるんじゃねぇ!!!」


「これはこれは、王子様。まさか、王子ともあろうお方が庶民なんかにハブられているわけがないですよね」


そう皮肉を聞かせながら煽ると、


「もちろん、お願いだ。俺も入れてくれ。」


「よろしい、さて、どうしましょうか?」


私が、きょろきょろと周りを見渡すと、カリーナが口を開いた。


「そういえば、後始末は大丈夫なの?」


「げっ、そういえば教室はどんな感じなの?」


「教室?、教室は、もう用務員さんがかたずけをしていて、大丈夫だけど・・・」


私が取りあえず一息、ハァと、吐くと続けて、


「でも、中庭ではこの話で持ち切りだよ」


「うへ」


驚いて、つい変な声が出た。


しかし、すぐに気を戻して


「さて、どうしましょうか?」


「どうするも何も、あんな公衆の面前であんなことしたら令嬢たちの話のネタにされるだろうな」


ディアルガ王子が、いやなことを教えてくれたがカリーナは、


「それは大丈夫かと、アンデェッシュの死神に手を出したシルビィア様が勝手に自爆したみたいな風潮になっていますから」


「そうか、それは良かったな。ロンダ」


「ええ、とてもよかったです。しかし王子、なぜそんなつまらなそうな顔をしているのですか?」


「決まっているではないか、シルビィアが自爆しなければもっと面白いことになってただろうからな」


「そうですか、最低ですね」


「人の不幸は、蜜の味らしいな」


「確かにそうですね。わたくしの晴れ舞台でも多くの観客やじ馬がやってきますから」


「たしかに」


フフフフ、


そう、3人で笑い合った。




しばらくして、教室に戻ろうとすると一人話しかけてきた。


「あの、ロンダさん。先生が職員室に呼んでいました。」


「そうですか、ありがとう」


そう言うと、なぜか逃げるように去って行った。


どうしてなのかしら?




まあ、とりあえず、職員室に行った。


担当は、おじいちゃん先生でこれでも子爵らしい。


名前は忘れたが、王子のクラスを任されたのだからきっとすごい人なのだろ


そんなことを考えながら部屋に入った。


「失礼します」


「ああ、ロンダさんか、なぜ呼ばれたかわかるか?」


「花瓶のことですか?」


「その通り」


「そうですか、」


「なーに、わしは、別に怒っとらん。むしろすごいと思ったな。」


「そうなのですか」


「ああ、わしら教師でも手の出しにくい公爵家の人間にあんなことする人物初めて見たぞwww」


先生は、笑いながら、しゃべっていた。


「いや、スカッとしたな。建前上平等を書いているが公爵家を恐れて何も言えないのが現状じゃ。そんな中、単なる一生徒のお前さんがこんなことをするなんて驚いたぞい」


「光栄です。」


「やられたらやり返せ、殴られたら殴ってやれ、わしが責任は取ってやるから」


「ありがとうございます。」


そうお礼を言うと少しいいことを思いついた。


ニヤリと何をするか決めた。


これを言うチャンスは今しかない。


そう思って、言った。


「せんせい。実を言うと少しお願いがありまして、」







「どうだった?」


カリーナが聞いてきた。


ここは、中庭。私はカリーナとディアルガ王子と、一緒にテーブルを囲って座っていた。


しかし、まるで円を描いたかのように私たちの周りには人がいない


「大丈夫、少し言われただけだから」


「そうか、にしてもうちの周りに人がいないな」


「そうですね。これはやはり王子のパワーなのでしょうか?」


「俺のせいだと!、面白い」


「ええ、王子の摩訶不思議な力が神秘的過ぎて誰も近づけないのでは」


だいぶ皮肉調で言った。


「フフッ、お前が花瓶を割ったからだろ」


「いえ、王子の力ですよ」


「そうかそうか」


「ええ、そうですよ」




周りの空気が冷え込んで息が詰まる中、


二人は、突然!!!


「「アハハハハハ!!!」」


大声で笑いだした。


「やはりお前は面白いな」


「いいえ、王子こそ」


「俺は正論を言っただけだが、」


「言い方ですよ」


「そういうものなのか、」


「そうですよ」


たくさんの人がいる中庭にひときわ不気味に笑う2人の姿があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る