第4話 保健室

手を取り合う。


それは、異常だった。


王族と死神。


それは、相容れずついなるものだった。


実際、形式上。処刑伯だが貴族らしいことは一つもしていない


パーティーはおろか、即位式にも出ない。


伯爵なのに領地も大きな家も持っていない


それが死神だった。


だが、そんな二人が手を取り合った。


それは、まるで水と油が混ざるみたいな出来事だった。


さて、そんな死神少女ロンダは現在、保健室にいた。


これは、ディアルガ王子の独断で連れてこられたのだ。


花瓶を割った時の反動で指をけがしていたからだ。


最初は気づかなかったが少し怪我していた。


だから、王子は連れて行った。


保健室に


もちろん、お姫様抱っこで連れていかれるといったことはなく


普通に歩いて連れていかれた。


ちなみにシルビィア様は、少し落ち着いたら大丈夫そうなので連れてきていない。


少し、息を整えるとあの取り巻き二人に肩を担がれながら逃げるように去って行った。




保健室にて、


少し奥にあるベッドに座っていると、


ディアルガ王子は、どこからか適当に取り出したであろうアルコールを持っていた。


「よーし、俺がやってやる。指を見せてみろ。」


そう言って、アルコールをティッシュに染み付けた。


だが、私は、別に良かったので


「別に良いわ。自分で出来るから」


「そう言わず」


そう言うと、怪我をしている右手を引いた。


そして、ティッシュで指を拭いた。


アルコールの染み付いたティッシュで拭かれたからとても染みる。


しかし、耐えられない分けではない。


「もう、何をしているのかしら」


そう言うと指を引っこ抜こうとした。


だが、ディアルガ王子は、それを許さない。


「ほら、今、絆創膏貼ってやるから静かにしてろ。」


すると、右手の手のつけ根を強く握った。


「うごくなよ、今貼っているから」


そうやって、無理やり絆創膏を貼る。


乙女心を王子は分かっていない


捕まれている右手は、痛いしドキドキはしない


正直言うと幻滅している。


まあ、そもそも論的に恋愛対象に見ていなかったから問題はない


男女に友情は成立するのか?


そんな風に男女に恋愛以外の関係が果たしてあるのか分からないが取りあえず、別の関係で見ていた。


すると、バッサと、勢いよく扉が開く音がした。


「ロンダ~大丈夫?」


そう言って、勢いよく私にとびかかってきたのはカリーナだ。


「あら、カリーナ、どうしたのかしら?」


「ロンダ!大丈夫?さっき教室に戻ったらすごいことになってて」


カリーナは、さっきまで教室にいなかった。


先生に頼まれた書類を運ぶとか言っていた。


さて、カリーナは、そう言いながら私の座っているベッドに近づいてきた。


バサ、そういう音と共にカーテンを勢いよく開けた。


「うぃ?ど、どうして王子がここにいるんですか?」


カリーナは、すごい変な声を出してる。


だが、そんな彼女を待たずにディアルガ王子は、言い始めた。


「ああ、お前か、なんだ俺がこいつの手当てをして何か悪いか?」


こいつ、いま私のことを「こいつ」呼びしやがった!


この王子は、女の子の扱いを知らないのだろうか?


私はともかく、カリーナにまでこんな態度をとれるのか、


フフッ、面白い人だ。


私が言おうとしたが先にカリーナが喋りだした。


「家、特に問題はありませんが、王子がこんなことをするなんて……」


「ああ、こいつは俺が気にいたやつだからな。」


「王子、、、カリーナに対してその態度は何ですか?」


「へ、どうしたロンダ?」


「いえ、王子は彼女が庶民だからそんな上から目線の物言いなのかなと」


「いや、俺は誰に対してもこんな言い方だぞ!」


「そうですか、」


「ああ、王位は神からもらったものだから誰より偉いと教わったからな」


「そうですか、でしたら即刻辞めるべきです。今時、王位は神からもらったなんて、誰も信じていませんよ、一応伯爵令嬢で役人の私の前で王の悪口とか普通に言ってますからね。」


「そうなのか、カリーナどうなのか?」


「え、えーと……」


しどろもどろするカリーナに私は声を荒げた。


「カリーナ、しっかり答えなさい」


「ひゃい、ロンダの言う通りあまりみんな信じていな……でも、私は信じてますからね!王子」


カリーナは、変な返事をした後小さく言っていたが、最後のところは早口ではきはきとしゃべっていた。


そんな彼女の言葉を聞いた後、私は、


「ほら、聞きましたか王子、これが今の現実です。しっかりと現実を見つめないといつか革命を起こされますよ、」


「革命、そんな今の庶民の生活は、悪いのか」


「いいえ、スラム街などを除けばまあまあですが、王への不信が続けば起こるでしょうね。」


「そうなのか、」


「まあ、その時は、わたくしが首をってあげますわ」


「フフッ、そうか」


「ええ、あまりいたくないよう一撃で首を切れるよう努力しますわ」


「アハハハハハ!そうかそうか、面白い俺の目の前で殺すとか言ったやつは初めてだ」


「さようですか、光栄ですわ」


「ああ、痛くないように頼む」


「ベーカー家の名に懸けてやって見せますわ」


王子は大笑いをしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る