第3話 ペン
ペン、
国王の印が入ったこのペンは特別なものだ。
執行命令書、
そこの執行者のところにサインするための物で、一人一本持っている。
私はもちろん、お父様も自分のを持っている。
国王の印が入ったペン自体は多数あるが、この形のペンは処刑人だけが持てるもの
真黒な色をしていて、そこに一筋の赤い色の印。
国王印だ。
そして、国王印から出てきた赤い線は、先端につながってる。
上には、金で少し飾られている。
不気味なまでの暗闇。
その表現がふさわしいだろう。
貴族なら誰しもが聞いたある一族没落の不吉な象徴。
それがこのペンだ。
そして、私から見ればこのペンは、とても美しい死神の象徴なのだろう。
そのペンを私は渡したのだ。
公爵令嬢シルビィアは、、手で払ってペンを床に捨てた。
「あら、少しお気に召さなかったのかしら、残念だわ」
「ふざけないで、これが何かわかっているのですか?」
激高しながら、私に突っかかってきた。
「何かって、これは、私の大切な大切な死神のペンですよ」
「分かっているなら、なんで渡したのよ」
「お好きかと思って、」
「どこが、」
「だって、そうでしょ、たくさんの人に濡れ衣をを着せてこのペンでサインさせる。あなたたちが、よくやることでしょう」
シルビィア様は、錯乱したみたいになって、一言、
「あなたなんて、制服じゃなくて、真黒なドレスと鎌がお似合いよ」
強く辛辣な言葉を口にして、疲れたのか、ハアハアと、息を吐いていた。
そして、体力がなくなったのか、床に着いてしまった。
「確かにそうですわね。わたくしには、それが最も似合うでしょうね。」
私が見下すみたいに上からそう返すと、
「どうした!」
教室の後ろのドアから、ディアルガ王子が入ってきた。
「どうした!、なぜ、花瓶が割れている?なぜ、彼女は、濡れている?なぜ、シルビィアは、怯えている?」
「あら、これはこれは、王子様。ごきげんよう。」
「わたくし、シルビィア様から、チューリップをいただいたのですが、気に入らなかったので壁にたたきつけました!」
私は、にんまりと笑いながら話した。
「ただ、わたくし何せ社交界には疎くて、シルビィア様に失礼な態度をとってしまったので、あのペンをチューリップのお返しに渡したのですが、そしたら、あんな感じに」
と、床に落ちているペンとシルビィアを指さした。
「おい、シルビィア!大丈夫か?」
「殿下、ぶ、無事です」
そう言ってはいたもののシルビィア様の顔は、怪物を見たような顔をしていた。
「彼女は、悪魔か何かです。助けて!」
「悪魔とは、失礼な!わたくしは単なる死神ですわ」
さらにシルビィア様の顔から笑顔が消えた。
「大丈夫か、おい、立てるか?」
そう言って、ディアルガ王子は、手をシルビィア様にのばした。
「あ、ありがとうございます」
シルビィア様は、くらくらと足を引きずりながら立ち上がった。
「なぜ、シルビィアは、こんなになったんだ!」
「さあ?分かりかねませんね。すみませんね。」
「お前は、何でこんなことをした?」
「なぜって、単純ですよ。」
私は、一息すってからしっかり、はっきりと言った。
「わたくしに敵対するなら誰であろうとつぶすだけです。」
ざわざわと、広がっていく。
重い空気が流れる。
どうしたらいいのだろうか?そんなことを心の中で考えているのだろう
そんな中、王子が声を上げる。
「俺でもか?」
皆が唾をのんで見守る。
私はゆっくり、聞きやすいようにしながら
「ええ、もちろん」
「そうか、」
「そうか、」
「そうなのか、面白い。俺に対面でこんなことを言ったやつはお前だけだぞ」
王子は大爆笑しながら私にいてくる。
しかし、そんな状況をよく思わなかったのか、取り巻きズが突っかかってくる。
「陛下、僭越ながら彼女の発言、不敬では」
そんな彼女らに王子は、
「ああ、確かに不敬だな。だが、こいつは気に入った。名をなんという」
「ロンダ・ベーカー」
「ロンダ・ベーカー!!!。お前、もしかしてベーカー家の娘か?」
「ええ、そうですわよ」
「そうか、お前がか」
「ええ、私がアンデェッシュの死神ですわ」
アンデェッシュの死神と言うのは、私のあだ名でアンデェッシュと言うのは、この王都の名前だ。
ちなみにお父様のあだ名は、紳士処刑人、燕尾服の死神。
そんな感じで、あだ名がついている。
これは、ゲームなんて存在しないこの世界で娯楽の一つに処刑があるからである。
何せ、上から目線で自分たちを見下していた貴族が処刑されるのは見ていて楽しいそうな
そんなわけで、あだ名が自然とつく
この名前なら知らないものは絶対いないはずだ。
実際、ロンダ・ベーカーと言う名前自体は、あまり知られていないので、周りを見渡すと私のことを指さして、ひそひそと話している。
「そうか、お前がアンデェッシュの死神か、城のメイドたちが学園に入学したって話題にしていたがおも前がそうなのか!」
「ええ、そうですわ」
「そうなのか、俺は、ディアルガ。第一王子だ。よろしく」
そう言って、手を出してきた。
「ええ、こちらこそよろしくお願いいたしますわ。第、一、王、子、」
手を受け取り握手をしながら耳に近づけてそう言った。
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