第2話 いじめ
3週間がたったが、いまだ私はカリーナしか、友達はいない。
カリーナは、カリーナで乙女ゲームのシナリオ通り王子と出会った。
それはそれは見ていて気分が上がった。
だって、ゲームでさんざん見てきたシーンを生で見れるととても楽しかった。
暖かい春の中庭。
王子は花々に囲まれながら一人読書をしているとそこに白い一枚のハンカチが、
なんだと思って、体を起こすとそこには可愛いカリーナ。
その瞬間。王子は一目ぼれした。
「初めまして、俺はディアルガ、第一王子です。あなたはどこの令嬢なのでしょうか?」
「は、初めまして、すみません、私は令嬢などではなくただの平民です。」
「平民!?そういえば今年から特別入学枠があったなぁ」
「はい、それでここに入ったただの平民です。失礼します」
そう言って、カリーナは、そそくさと逃げてしまった。
これが最初の出会い。
今まで王子は自分のクラスなどあまり見ることのどなかったが、
カリーナが、同じクラスと知ることになる。
そして、だんだんと好きになっていく。
「どうして俺は3週間もあったのにすぐに彼女を見つけられなかったのだろうか?」
そう思いながら、甘ったるい時間を過ごしていく
そして、私は茂みに隠れながらこっそり見ていく。
もちろん、シナリオ通り進ませるための努力をして、
例えばカリーナのハンカチが風で飛びやすいように
クラスメートが中庭に近づかないようん仕掛けたり
そんな感じでいろいろとやって行った。
結果、見事最高のシュチューエーションが完成。
やっぱ、乙女ゲームは、最高だ!
さて、一方私はと言うといじめを受けていました。
犯人は、乙女ゲームの悪役令嬢です。
取り巻き二人を連れて私の机の上に花瓶入りのチューリップの花を置くという素晴らしい行為(皮肉)を行い、裏でこそこそしゃべっていました。
ここは、やはりというべきでしょうか?
ゲームでも、公爵令嬢のシルビィアは、カリーナをいじめています。
取り巻きの伯爵令嬢。カニュールと同じく伯爵令嬢のチュルシィといつも一緒に
ゲームでは結局、断罪されて追放ENDが主流だったはずです。
しかし、私が学園に入ったせいでそれは違うかもしれないです。
なぜなら、実際、今私はカリーナが受けるはずのいじめを受けています。
まあ、さほど大きな影響も多分ないでしょう。
さて、どうしましょう。
ゲームでカリーナは、ディアルガ王子にばれたくないので隠していて、結局王子にばれてしまう。
そんな感じですが、しかし私は違います。
右手で花瓶を持った。
そして、無言で壁に移動していった。
それは、処刑台で大鎌を担いで受刑者に近づく時のように
カンカン、
靴を教室の床にたたきつけるように一歩一歩まっすぐ進む。
教室に不穏な空気が流れる。
ざわざわと、声が聞こえる。
頭を壁に向かってちょっと下げただけで当たってしまいそうなほど近づくと、
右手を振り上げる。
「バリーン」
大きな音が流れる。
床には3つに大きく割れた花瓶の破片と無数のチリが落ちてる。
その破片を湿らせるかのように水がかかっていて、
そこには、一輪の花がひらりと舞い降りたかのように、
気高く、
美しく、
誇らしげに、
存在していた。
割ったのだ。私が
花瓶を勢いよくぶつけた壁には、大きな水がバッシャと、かかっていて
どのくらいの強さでぶつけたのかよく見て取れる。
幸い、ぶつかる直前に手を放したので血は出ていません。
しかし、割った衝撃で制服には、水がかかっていました。
「あれ、おかしいですね。いつもなら血が服に着くのに今日は水ですか?」
「アハハハハ、おかしいですね。」
私は、軽快な笑みと共にシルビィアたちを向いて動き始めた。
「シルビィアさん、すみませんね。わたくしチューリップは嫌いなんですよ。職業柄か、スノードロップが好きなんですよ。すみませんね。ちなみに花言葉は高名なあなたならもちろんご存じですよね」
そう言いながら、あやまった。
ちなみにスノードロップの花の花言葉は、【あなたの死を望みます】
死神としてはこれほどもない最高の言葉なのだろう。
実際、シルビィアやクラスの一部は、私を怖がって見ていた。
しかし、取り巻きの伯爵令嬢の二人、カニュールとチュルシィは学がないのだろうか?
私に怖気ずくことなく、「シルビィア様よ、わきまえなさい。平民」
そう言っていた。
無知って、怖いわね。とっても
ここは、一つ私が教えてあげなければ
身の程というものをね!
私は、もっと彼女らに近づくと、
シルビィアは、恐怖で固まって、
カニュールと、チュルシィは、片手でシルビィの腕を触りながら彼女を守ろうとしている。
私は、3人の目の前に立つと、
「すみませんね、でもこれでも処刑伯、伯爵令嬢なのですよ、カリーナと違って私は平民じゃないのでそこのところは今後お見知りおきを」
「あと、すみませんでした。シルビィア様、わたくし、貴族のことはなんせ疎くて」
フッフッ、不敵な笑みをすると
「これは、せめてものお返しにどうぞ」
そう言うと、一本のペンを見せたのだ。
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