第2話 怒涛の6年


洞窟の中に戻ってきた僕はその称号がどんな力を持っているのか確認できずにいて戸惑っていたが何となく洞窟を抜けようと思って歩いていたら洞窟から出る事が出来た。不思議と導かれる感じだった。

それから3年たって10歳になった。僕が住んでいる国であるブリントンは10歳になると教会で職業とスキルをもらえるのだ。皆は両親と一緒に来ているが僕は1人だった。 僕の両親は幼い頃に神隠しにあって返ってこなくなったのだ。その後僕は親戚の家を転々として暮らしてきた。やはり両親が神隠しにあった子供なだけに不気味がられることや嫌がらせを受けることもあったが祖父母が死んでしまってからはその家を使わせてもらって1人で暮らしていた。


教会に着くともう誰か職業とスキルを授けられているようだった。


「アレン·クスタリオの職業とスキルは……勇者だっ!スキルに関してはエクスプロージョン·パニッシャーじゃないか!勇者が出るなんて100年振りだぞ!君はとてもすごいぞ!」


周りも驚きを隠せなかった様だった。勇者なんて滅多に出ないからなー。そして特別な職業は経験を増やしていくことでスキルも増えて行くのだ。何人かが授けられて遂に自分の番が来た。僕はとても緊張した。なんせこの職業とスキルが弱かったら神域に行ける可能性が格段に下がってしまうからだ。だから僕は必死に祈り続けた。

勇者よりすごい職業を僕にください……


「ジル·シルフィードの職業とスキルは…………あれこれなんかのミスか?まあいいかそのまま読めば。改めてジル·シルフィードの職業とスキルは……神の恋人候補、スキルは無しだ…………こんなの初めて見たから分からないがスキルがないということはこの職業はハズレなんじゃないかな‪w」

どっと笑いが起きた。僕をバカにするような笑いがそこら中に広まっていくじゃないか。もう帰ろうと思っていたら勇者のアレンが僕を呼び止めた。


「ちょっとジル君待ってくれ!スキルがないからなんなんだよ!人の価値はスキルだけじゃない!俺の所に来て一緒に冒険しないか?」


俺にはそれが眩しかった。希望だった。勇者と一緒に居れば何かが変わると思ったから着いて行くことにする。

「分かった!ありがとう!」




――アレンside

ジル君はスキルを持っていないのかー。今年はスキルを持っていない人がジル君ただ1人だけだから俺の下僕にしてやるか。何人もいたらさすがの俺でも対処しきれない。こうすれば奴隷を買わなくても奴隷同然の労働力が手に入る。やっぱり俺って頭いいなー!スキルを持っていない時点で俺には絶対に逆らえないしな‪wたくさん女をパーティーに入れて俺のハーレムにしてやるぜ!


――ジルside

勇者パーティーに入って3年がたった。正直に言うとこの3年はとても地獄だった。俺は奴隷同然の仕事をさせられるし、飯もろくに分けてくれなかった。アレンは街を移す度に女を侍らせ夜は壁が薄いために喘ぎ声が響いて眠れない。3年が体の限界でなんの働きも出来なくなったところで俺はアレンに呼び出された。



「ジルもうお前いらないからことパーティーから出てけ。」


僕はもう何も考えることが出来ないのでただひたすらに頷くことしかできなかった。

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