第2話 出会う前の二人 後章

【あらゆる存在が自分を拒絶している感覚がする】

 雨に好かれた少年は今日も空を睨む

愛する者に向ける感情を含んでいることを知っているが

生きるためには【雨に当たる】ことが絶対条件なため

それを由縁だと信じている。

 少年の周りにはいつも雨が降るためか

【町を沈めかけたことがある】という事実が

そのトラウマが拒絶を認識させていた。

「雨って気まぐれだな・・・・・・」

 溜め息交じりに雨天に話しかけると

少しだけ勢いが増していく。

「馬鹿にはしてないし、痛いんだけど?」

 まるで通り雨から戻ったように小雨になる様子を

辟易したが態度に見せず笑って見せた。

「言うことを聞いてくれてありがとう」

 素っ気なかったがそれで問題はなかったらしく

小雨のままで維持している。

 この頃の空は言うことを聞かないことがたまにあり

制御できないと悩んでいるが

ある噂を頼りにこの町に来ていた。

【雨を自在に降らせた一族の末裔が探偵をしている】

 最初はそんなものが居たのかと疑ったが

家の蔵に置いてある文献にそう書かれていたのは事実だ。

「地図ではここだよな?」

 当たり前の疑問を目の前にそびえ立つ

高級マンションにぶつける。

 見た目から言うと野宿をしていたことが

バレバレどころかアピールを振りまいていた。

「警備員・・・・・・」

 田舎から出たことがない者にとって

テレビドラマやニュースが都会のイメージを決めてしまうこともある。

 そんな情報の少ない場所から来ていたためか

大概の人間を追い出すという印象以外ない。

 うろつきながらそわそわしていた所に

後ろから声を掛けられる。

「君は依頼人かな? 小さな勇者・・・・・・ 名前は?」

 それはキレイな透き通る声だった。

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