17

「ど、どういうつもりだ!」

「いやちょっとね」

「宗弥君は君が」

「えぇ、そうです。では御機嫌よう」

男は銃を前の男に構えた。

「そんな簡単に死んでたまるか!」


と男は銃の持つ男に向かって突進し・・・

銃声が鳴った。

近くの木々にいた烏達が鳴きだし木から飛び出してきた。




「い、今の音・・・」

九十九は恐る恐る言った。

「銃だな」

綱方もどうやらわかったようだった。

第二の殺人が行われてしまった。

「行こう」

「あぁ」

ハンカチを素早く直すと階段を降り、多分今頃騒いでいるであろう現場へ急行した。




九十九は時計塔から銃声の元へ向おうとすると意外にも現場が自分達のいた場所から、近い所で起きていた。

時計塔への階段を下り、左右数々の部屋へ続く廊下。

現場はその右の廊下の左から五番目の部屋。

九十九は人を掻き分けて中に入るとそこにあったのは・・・

そこにあったのは、下には銃と倒れた椅子。

縄で吊るされていたあの鈴谷さんがだった。

口からボタボタと血が堕ちている。

きっと銃口を口に・・・

「・・・そんな、鈴谷さん」

九十九は予想外の人の屍を見て唖然とした。

「おい、お前の予想が外れているぞ?」

近くで綱方が小さく耳打ちをした。

「自殺だな?アレは」

「いや、そうとは言い切れないと思うよ」

「な、何でなんだ!?」

「そんなの僕が知るわけないだろ!?」

九十九がそう言うと逃げるようにその場から出て行った。

「ちょ、ちょっと待て!」

綱方は慌てて九十九の後を追った。

人混みから出ると九十九はもう階段を下りようとしている所だった。

急いで綱方は九十九を追いかけて肩を掴んだ。

「お前、何投げやりになってんだ」

「もういいだろ!僕がこんな事したって解決にも何にもならないんだ」

「だからって中途半端に投げ出すのはないだろ!」

「じゃ、そういう君だったらやれるとでも言うのかい!?」

九十九が怒りが篭った声で言うと綱方はうっ、と何も言えないのか悔しそうに唇を噛んだ。

「やれるわけでもないのに人に押し付けるな!僕は何も権力もない世にいない同然の財界の人間なのに」

九十九が威張ったように言うと綱方に背を向け何処かへ言ってしまった。

綱方はしばしばその場に突っ立ってしまっていた。


++++++++++


気がつけば木下結衣の部屋に綱方はいた。

高い椅子に刀を抱えるように持って座って、横のベットで横になっている木下の話し相手になっていた。

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