ゆらぎ

街の浅い場所で

また春を迎えること

亡霊みたく移ろいで

透明にたたずむ


生活は

わたしの所作で紡がれる

花の名前を

おぼえることも

生活の一片である


ことばにできないものを

記憶にかえていくことで

生命をしる


春の根が届かない

深くてくらい空間で

痛みを知る


生活は

わたしのいのちで紡がれる

あなたの名前を

わすれることも

一片のいとしさである


幾度も 春に

胸の冱つようなさびしさを感じ

それにも ようやく

慣れてきたけれど

石の枕にたおれながら

今日も春を看取るのは

ただのゆらぎさ

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