無能の烙印を押されましたが実は最強チートでした、な奴だらけの街 ~転生賢者・最強村人・外れスキル・常識知らず・パーティー追放・異世界召喚・中年おっさんたちが大暴れ~
第6話 転生賢者の失伝魔法 ~五百年後の魔法学園で、俺は伝説になっていました~ 6
第6話 転生賢者の失伝魔法 ~五百年後の魔法学園で、俺は伝説になっていました~ 6
その後ミーロも私と同様に
ミーロも私も、転生前ではこれが当然だったのだが、一体何がまずいのだろうか。
「が、頑張ります!」
ステラの番になる。
ステラも他の受験生と同様に魔法を使用し、的が破壊される。
「や、やた!」
喜ぶステラ。
やはり魔法の命中率を測定するテストだったようだ。
確かに、威力の弱い魔法を小さな的に当てるのは難しい。大規模な攻撃をすれば的が消滅するのはある種、当たり前ではある。私もかなり威力を絞ったつもりだったが、ここまで魔力を押さえて放つことすら難しい。
その後、同様の簡単な魔法術式のテストを行い、私、ミーロ、ステラの三人は試験の結果を待った。
× × ×
「アルト、ミーロ、ステラ、前へ!」
受験の監督を務めた女教官が私たちを呼んだ。
その他、受験に通過した数十名の受験者の名前が読み上げられる。
女教官は一人一人ウェイン魔法学園のものと分かる
「貴様らをウェイン魔法学園の正式な生徒として受諾する!」
「あ、ありがたき!」
ステラは甲斐甲斐しくお辞儀をする。
何もそこまでかしこまらなくても、と思う。それにしても、一体あの魔法のテストは何だったんだろうか。
「これからは我が学園の一学徒として恥じないような行動に努めよ!」
ゆめゆめ忘れるな、と女教官はそう告げ,演壇から降りる。
明日から私はウェイン魔法学園の学生になる。
「以上だ! 解散!」
どうやら今日はこれで終わりらしい。
「アルトさーん!」
ステラが大きな声を上げ笑いかけてくる。
「アルトさん、合格おめでとうございます!
「ステラもね」
これで晴れて、私たちは同じ学園に通う学徒となったわけだ。
「アルトさんの魔法、素晴らしかったです!」
「それはありがとう」
「あの、もし、もしよかったら!」
ステラがもじもじと上体をよじらせる。
「もしよかったら、これからも私と仲良くしてください!」
ステラが体を折り曲げ、手を差し出してきた。
「ああ、もちろんだ」
私はステラの手を取り、ぶんぶんと振る。
「きゅ~~~」
ステラは顔を真っ赤にした。
「あ、あの! じゃあ、私はこれで! また明日!」
「ああ」
そういうとステラはそそくさと帰ってしまった。
「ステラか……」
「はあ」
ミーロはため息を吐く。
「どうして私もここに通わないといけないんですか」
「一緒に魔法を学ぼう、ミーロ。きっと良い出会いもあるはずさ」
「出会い……!」
ミーロは目を輝かせる。
「今度は行き遅れないようにね」
「うるさい!」
ミーロに頭をはたかれる。
明日からの日々が楽しみだ。
私はミーロとともに、草木がうっそうと茂る居城へと、踵を返した。
× × ×
「よし……」
翌日、私は期待に胸膨らませ、朝早くに起床した。
まだ日も昇っていない。一体この時代ではどれくらい魔法が進んだんだろうか。どれくらいの新しい魔法技術が発明されたんだろうか。
楽しみで楽しみで仕方がない。
ウェイン魔法学園指定の魔法ローブに身を包み、徽章をつける。
「ミーロ」
「う~ん……」
ミーロは布団を両足で挟み、抱いている。
「ミーロ、起きなよ」
「まだ私は行き遅れてない……!」
ミーロがうなされながら、何か呟いている。
「ミーロ、早く起きろ!」
私はミーロの頬をぺちぺちと叩いた。
「やーめーーーー」
「え」
「ろーーーーーーー!」
「ぐぁっ」
ミーロの蹴りが私のボディに炸裂する。
私は遥か後方に吹き飛ばされる。
「い、良いキックじゃないか、ミーロ……」
どうして起こそうとしただけでこんな目に。
「あ、あれ、大賢者……様……?」
ミーロは前後不覚なようで、ぼさぼさの頭を直しながら、私を見た。
「なんでそんなところで寝てるんですか?」
「君が俺を蹴ったからだよ」
「え、あれ、あれ?」
ミーロは頬を赤くして
「もしかして私にそんな力が眠って……」
「違―――う!」
私はミーロの下まで戻る。
「全く、今まで知らなかったけど、ミーロがこんなに寝相が悪いだなんて知らなかったよ」
「そういえば前世でも共寝した翌朝、どうしてか共寝した人が違う場所で寝ていたような……」
すみません、とミーロは頭を下げる。
「もう朝だから準備をしなさい。ウェイン魔法学園に行くよ」
「え、もうそんな時間ですか?」
ミーロは城の窓から外を見た。
「くら~」
「まだ日も昇ってないからね。早く行きたくてうずうずしてるんだよ」
「日も昇ってないうちから起こすなぁ!」
ミーロはそう言うと私を殴り、再びベッドへ戻った。
寝起きのミーロは機嫌が悪い。また一つ賢くなってしまった。
私はミーロに殴られた部分をさすりながら、転生時に持ってきた
「ん~……」
暫くして、ミーロがベッドから起き上がってくる。
「ああ、おはようミーロ。よく眠れたかい? テーブルの上にご飯を置いたから食べるといいよ」
「え、あ、す、すみませんアルト。本当は私が作っておかないといけないのに……」
「いいよいいよ、俺たちは対等なんだから。従者と大賢者じゃあないんだよ」
「かしこまりました、ありがとうございます」
ミーロはテーブルにつき、ご飯を食べ始めた。
「ところで、なんだか私、変な夢を見たんです。アルトを蹴るような。すごいリアルな夢だったんですよね」
「はは、全く、恐ろしい夢を見るもんだね」
「あはは、良かった~。てっきり本当にやっちゃったかと思いましたよ」
やってるよ、君は。
私はミーロの朝の準備を待った。
「じゃあ、準備は良いかな」
「はい、ばっちりです」
魔法学園へ行く準備が出来た。
「じゃあ俺につかまりな」
「また
ミーロは嫌そうな顔をする。
「嫌そうな顔をするんじゃない」
「だって怖いじゃないですかぁ」
「ここからウェイン魔法学園まで歩いて行くとなるとものすごい時間がかかるよ」
「それはそうですけど~」
「じゃあ出発だ!」
「心の準備――――!」
私は再び空に
「怖い怖い怖い怖いーーーーーー!」
私とミーロのローブがばさばさとはためく。風に揺られて心地よい。
「あははは、今日も晴れ。良い一日になりそうだ!」
私は髪をかきあげる。かきあげる髪があるって、なんて素晴らしい。
「じゃあ出発!」
「もうやだ~~!」
私たちはウェイン魔法学園へ、向かった。
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