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今はどうだろう。

こんなに軽く飲めている、もう自分はあの頃の自分じゃないみたいに。

あたしが成長したってことなのだろうか。

あのお父さんが飲んでいたブラックコーヒーに泣いたこのあたしが。

今はどうだろう。

昔のあたしは何事にも無邪気で積極的だった。

だって、周りにあるありとあらゆるものがあたしとって魅力的なものだったから。

だけど、成長していくに連れ、あたしは自分の存在はとても平凡で何もない空っぽな存在ということに気づいた。

似たような人達が至る所に数え切れないほど沢山いて自分はその中の一員なんだって、そう思えるようになった。

それからは自分の失点が気になりだして、失敗をすればするほど自分が惨めでどうしようもなくて、自分で自分を責めなくちゃ自分を抑えることが出来なかった。

少しだけでもいい、自分に自信を持てる自分になりたかった。

自信がなければ人は誰しもしっかり物事を見ることが出来ないし、落ち着いて行動も出来ないからだ。

もう手遅れかもしれないけど・・・・・・

「自信を持てたらな」

と、美香は小さく呟いた。

「それは、今の美香さんの願いですか?」

闇野は尋ねた。

「そうだったらなって思うぐらいの些細な願いですけど」

またコーヒーを口に含む。

元々小振りのカップだったため、大分中の底が見え隠れしていた。

「でも、出来たら叶って欲しい〝願い〟ですよね?」

「そうすればあたし、今の自分を克服出来そうな気がするんです」

そう言うと美香の視界は一瞬にして、変貌した。

ふわっと浮いた。

さっきまで喫茶店にいたのに、周りの景色が真っ黒になった。

美香はその変化に戸惑いを隠せなかった。

しかし、その時、真上にぽうっと光る光があった。

美香は直感的にアレを取らなければと思った。

理由はわからない。

しかし、闇を恐れて光を求めた。

必死に手を伸ばす。

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