この作品の素晴らしさを一言で語るのは難しいです。
それ程に緻密でありながら繊細で時には残酷でありながらも読む者に訴えかけて来る迫力があります。
設定は人魚姫ですが、アンデルセンの童話とは全く異なります。
この作品は徹底的と言える程に「現実」を突きつけてきます。
それを可能にしているのは優れた文章表現力です。
情景描写・人物描写・心象描写、そのどれもが優れています。
特に情景描写は煌めくような美しさに満ちています。
そして、それらの要素が物語にリアリティを生み私達は登場人物と同化してこの作品の中に埋没して行きます。
「人を愛する」と言う事は綺麗事だけで済むものではありません。
この作品の中でも重くて辛い場面も出て来ます。
しかし、作者はそれから逃げる事なく真っ向から立ち向かっています。
「究極の愛のかたち」を私達に伝える為に。
それを可能にしているのが、上記した優れた文章表現力です。
さて、私はラストの1話を読む前にこれを書いています。
何故でしょう?
それはラストを私へのクリスマスプレゼントにしたいからです。
この作者の方でしたら、必ず私を納得させてくれる物語の締めくくりをしてくれる、と信じているからです。
これを読んでいる皆さんも私と一緒にこの美しい物語を体験してみませんか?