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「手紙の内容はまだですよね?」
「勿論。」
「では、もう必要はないので破ります。」
カイは手紙をびりびりと破り始めた。
「あ、ちょっとカイ!!」
ワートが慌てて止める前にもうカイは手紙を粉々にした。
それを手で集めると、近くにある小さなゴミ箱へ入れた。
「何を考えているんですか!何か書いているかもしれない手紙を。」
フレイヤは思わず席を立ち上がり言った。
「言葉通りですよ。必要ないんですよ、もう。フレイヤさん、ちょっと席を外しますよ。」
カイがそう言うと、ひとり何処かへ行ってしまった。
「何を考えているんですか?あの人は。」
フレイヤが言った。
「さぁ、僕にもわかりません。カイの奴、何か掴んだのかもしれないですよ?事件の答えになるヒントを。」
ワートがメモ帳の書き込みが終わると、フレイヤを見た。
不安な表情で心配そうな顔をしていた。
確かにカイの言う通り言いたい事が顔に出ている。
「落ち着いて、待ちましょう。彼が戻って来るのを。」
ワートは、カップに紅茶を入れるとフレイヤは戸惑いながらも席に座った。
廊下を1人カイは、歩いていた。
コツコツと音が響く。
「どうかなさいましたか?」
カイは、正面を見た。
そこにいたのは、執事のアーサーと貴婦人がいた。
「あぁ、すいません。少し考え事をしてまして。」
カイは、平然と答える。
「あら、アーサー。何方ですの?」
貴婦人が言った。
多分、フレイヤの母なんだろうとカイは思った。
「この方は今日お嬢様の例の件で来て下さった探偵でございます。えーっと、こちらはお嬢様の」
「母のリリーです。申し訳ございませんねぇ。臆病な娘の依頼で。言ってくだされば、持て成しでも用意いたしましたのに。」
リリーは手に扇を持って仰ぐ。
「いえ、ここに招かれただけでも光栄です。ところで奥様。お嬢様の事件で少しお話がしたいのですが。」
「私からは何も言うことはありませんわよ。そんな事より娘は大丈夫ですの?一緒ではないようですが。」
リリーはカイの後ろをちらちら見ながら言った。
「ご心配なく。僕の親友が一緒にいます。」
「でも・・・」
「奥様、何か心配事でもあるのですか?」
カイは笑って言った。
「奥様、私はお嬢様の様子を見て参りましょうか?」
執事が言った。
「え、・・・あ、そうね。お願いするわ。」
リリーが言うと、アーサーは慌ててフレイヤの部屋へ走って行った。
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