5
「では、こちらに。」
フレイヤは、入り口のドアを開けるた。
「「うわぁー。」」
2人は同時に歓声を上げた。
ドアの先には、一面敷かれている赤い絨毯。
飾られている花瓶に皿。
そして、2階、3階へと続く螺旋状の階段。
豪邸独特の豪華さだった。
「お嬢様、お帰りなさいませ。」
声が聞こえた。
気がつけば、正面に片目レンズををつけた執事が立っていた。
「はい、ただいま戻りました。」
「ところでそちらの方々は・・・」
「あ、こちらは探偵の」
フレイヤが紹介をしようとすると、カイは、彼女の肩を自分のところに寄せてこう言った。
「お嬢様の恋人でもあるカイ・ウェリアムです。で、そこにいるのが、友人ワート・ストロングです。」
と格好つけるように言った。
すると、ワートは執事に近づき
「すいません。彼女性の依頼者になるといつもこうなので彼の戯言は全く耳を傾けなくていいです。」
と頭を下げて言った。
「あぁ~、そうですか。いや、いきなり言うものですから少し疑いましたよ。」
「あ~、もう本当にすいません。後で注意します。」
「何でオレをそんなに軽蔑するんだよ!」
カイが言った。
「一緒の人間と思われたくないからね。僕は。」
「何だと?」
カイは、言った。
すると、2人は言い合いを始めた。
フレイヤは逃げるように離れるとこう言った。
「アーサー、後で私の部屋にお茶をお願いします。」
「かしこまりました。・・・お嬢様、実はまたこれが。」
執事は、懐から手紙を取り出した。
それは、黒い手紙だった。
「わかりました。」
フレイヤは、少し暗い顔をしながら手紙を受け取り折りたたむとそっと手の中に隠した。
カイはふざけあっている中ちらっとフレイヤの方を見た。
「お2人さん、少し静かにしていただけませんか?今から私の部屋へ案内いたしますので。」
フレイヤが言うと、2人は顔を引っ張り合っいた。
それを見ると、思わずフレイヤは笑ってしまった。
「いや~、すいませんね。見苦しいところを。」
「いえ、私も楽しませてもらいましたから。」
フレイヤは、コップを手に取り紅茶を飲んだ。
「で、この家に住んでいるのはさっきの執事と誰なんですか?」
カイは肘をつきながら紅茶を啜って言った。
「母と執事のアーサーに使いの5人と暮らしています。」
「ご兄弟は?」
「いません、ひとりっこで。」
フレイヤはそう言うと、下に俯いた。
「あ、すいませんね。余計な事でした。」
「そんなこと無いです。気にしないで下さい。」
「で、最初は手紙でその後起きた出来事を順番に教えてもらえませんか?」
カイが言うと、フレイヤは席を立ちあるものを持ってきた。
「私、毎日日記を付けていましてついでに出来事を書き記しています。どうぞ。」
フレイヤは日記をカイに渡すと席に戻った。
カイは、1ページ1ページ日記を読んでいった。
どうやら悪戯は手紙からゴミや動物の死体が入った届け物、部屋の荒らしと来たらしい。
だんだんと犯行が身近なものとなっている。
「ところで届け物が来たと書かれていますが、これも差出人が書かれていないんですか?」
「えぇ、手紙と一緒で。それも黒い紙包まれていて・・・。」
「なるほど。」
カイはそう言うと、顎を掴んで考え始めた。
「ねぇ、フレイヤさん。心当たりとかはないんですか?ほら、ある出来事からある人が自分を避けるとか。」
ワートは試しに言ってみた。
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