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「なるほど、最近起きる身の回りの事件を何とかしてほしいと。」
「はい。」
カイは、う~んと唸り顎を持った。
「最初に起こった事とはなんですか?」
「始めは、悪戯の手紙からでした。内容は、この通りです。」
彼女、フレイヤ・シャロンは、持っているカバンから一通の手紙を取り出した。
黒い封筒でカイが中身を出すと、その便箋も黒かった。
「かなり悪質だね~。」
近くにいるワートが言った。
「えっと、『これから貴方に待っているのは絶望と苦痛。味わいたくなければ、この家を去り田舎で住むがよい。もし、それでも屋敷にいたくばこの世を去ってもらう。せいぜい余生を生き延びるがいい。』か。悪戯にしちゃ確かに悪質だな~。しかも白い十字架と来たか。」
「何?黒い封筒に便箋。一番したにある白い十字架のマークって何か意味でもあるの?」
「これは、殺人予告の意味にもなるんだよ。十字架は、キリストを貼り付けにした死の象徴。死神の意味も持っているな。それだけじゃない。黒という色にもな、意味があってこのような黒い手紙を恨んでいる相手に渡すことによる一種の呪いっていうのもある。これは、いつから来たんですか?」
「一週間、・・・前からです。」
「住所もない。身内の可能性もありえますね。」
「そんな!」
フレイヤは、思わず大声で言ってしまった。
「落ち着いて下さい。あくまで可能性です。とりあえず家の方を案内してもらえませんか?」
カイが言うと、彼女は承知した。
向かった先は、大きな豪邸だった。
馬車で玄関前まで着くとカイもワートも目を点させ棒立ちをしてしまった。
「すごっ。」
「お嬢さん、貴方はもしかしてここの『お嬢様』?」
カイは、言った。
「一応、そういうところです。」
「一応?」
「はい。私、ここの養子なんです。身寄りのない私を父であるここの主人に引き取られて今までは不自由なく過ごしてきました。」
「いいなぁ~、僕なんか親に15になったから働けとか言われてやっと記者になって働いているっていうのに。」
ワートは、羨ましそうに言った。
「とりあえず、どうぞ。」
フレイヤは、玄関門の鍵を取り出し門を開けた。
「いいのかな?」
「抵抗持ってんのか?」
「いや、凡人がこんな所に入っていいっていうところに不安が。」
ワートは、一歩足を引いた。
カイは、それを見ると
「これ上手くいけば、ネタになるよなぁ~。大豪邸の裏には!とか言って大きな見出しに。」
と小声でぼそっと言った。
ワートは、その言葉に強く反応した。
「記事に出来ますか?カイさん。」
「お前なら楽勝だろ?」
「ハ・・・ハハ。」
ワートは、何とも言えない笑みを浮かべた。
「じゃ、僕行きます!今日中締め切りの記事のために!!」
「よし、頑張れ。」
カイがそう言うと、ワートの服を掴みフレイヤの後をついて行った。
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