三月二十五日 電気記念日
日本で初めて電灯が灯された日。
明治十一年(一八七八年)三月二十五日、現在の東大工学部の前身にあたる工部大学校施設でアーク灯が灯されたことと、同日一般家庭用の配電が始まったことを記念して、昭和二年(一九二七年)に日本電気協会(現在の一般社団法人日本電気協会)によって制定された記念日。
日本電気協会の前身は明治二十五年(一八九二年)に発足した日本電燈協会なのだが、これが東京日本電気協会、大阪中央電気協会および福岡九州電気協会による合同協会となって現在の団体へと変遷を遂げている。
(第一種電気工事士の資格取得なんかに関与している団体の一つ)
さて、日本で初めて灯った電灯はアーク灯とされているが、おそらく厳密には炭素アーク灯と思われる。
文化五年(一八〇八年)にイギリスで初めて実験が行われて点灯した世界初の電灯がコレである。
色々改善の余地のある電灯だったもので、イギリス本国でも実用化に漕ぎ着けるまでに五十年以上かかっていたりするのだが、十九世紀後半の街灯は主にアーク灯が使用されていた。
その流れで日本では工部大学校(現東大工学部)の英国人講師によってアーク灯点火が行われた。
この時の点灯にはグローブ電池およそ五十個を使用したとされている。
グローブ電池は直流電力の放電のみできる化学電池で、イギリス人(厳密にはウェールズ人)物理学者グローブさんによって発明された初期型の一次電池である。
高電流出力、高電圧という特徴があるため十九世紀後半のアメリカでも主力電源としてガンガン使われていたそうだ(主に電報なんかを打つ時に)。
だが、同時期に勃発していたアメリカ南北戦争(一八六〇年代)の頃になるとグローブ電池は放電毎に電圧が下がること、有害な二酸化窒素を排出する傾向があることなどが問題になり、徐々に廃れていったという。
そしてアーク灯も明る過ぎるという理由から白熱灯へとシフトしていくことになる。そんな白熱灯もこの十数年余りで発光ダイオードに取って代わられつつあるわけだ。
記念日のタイミングで計画停電を検討しないといけない現状に色々思うところはあるものの、自然相手ではどうにもならないことはある。何とか平穏無事に済んでほしい。
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