三月十八日 点字ブロックの日

 駅構内やプラットホーム、一般歩道上に当たり前に敷いてある黄色い点字ブロック——実は一般名詞ではなく登録商標である。

 正式名称「視覚障害者誘導用ブロック」と呼ぶそうだが、こんにち目の不自由な方々の道標として欠かせないものとしてインフラ整備されている。

 この点字ブロックが初めて敷設されたのが昭和四十二年(一九六七年)三月十八日、岡山県でのことだった。


 日本初であり、世界初でもあったことから社会福祉法人岡山県視覚障害者協会が申請し、一般社団法人 日本記念日協会が平成二十二年(二〇一〇年)に認定したオフィシャル記念日である。


 最初の敷設場所は岡山県立岡山盲学校最寄りの交差点(二三〇枚使用)だったそうだ。

 点字ブロックを手掛ける一般財団法人安全交通試験研究センターによると、点字ブロックには厚みのあるコンクリート埋設型の他に、貼り付けタイプがあるのだが、ゴム系接着素材、専用溶融接着タイプ、屋内外両用タイプなど各種取り揃えてあり用途に応じて使い分けているようだ。


 また、点字ブロックの他にも誘導用電子チャイムなんかも扱っているらしい。エントランスなんかで「ピーンポーン」と鳴るタイプから、駅のエスカレーター等で「改札方面上りエスカレーターです」などとセンサーが反応して喋るタイプのアレだが、音声バリエーションの他に鳥の鳴き声シリーズも軽く数えて十一種類あった。

 音声素材の注釈で「野鳥の生態系に影響を及ぼす可能性があるため、設置場所に注意」という文言が入れられていたため、気になってうっかり試聴してみたら、なかなかリアルに再現されていて感心した。

(どこで使ってるんだろう……?)


 話を点字ブロックに戻す。

 今や世界一五〇カ国以上で敷設されている「点字ブロック」だが、日本初とあって国際規格は日本のJIS規格を基にしているそうだ。


 ばっくりおさらいすると、進行方向を示している「線状ブロック(=誘導ブロック)」タイプと注意喚起(交差点や横断歩道などの要一時停止箇所)の役割を担う「点字ブロック(=警告ブロック)」タイプの二種類に大分される。

 この二種類のブロックが視覚障がい者の日常生活と命を守っているわけである。

 うっかりブロック上に駐輪駐車した結果、避けて歩いた歩行者がそのまま車道に迷い出てしまったり、正しい進行方向が分からなくなってしまうという非常事態に陥ってしまうことになりかねない。


 特に視覚に問題のない健常者にとっては、見えているからこそ、自分の足元身の回りに起こっていることが見えなくなっている場合がある——ということを、改めて意識したい日だ。

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