一月十八日 118番の日

 110番なら警察。

 119番なら消防および救急。


 じゃあ、118番はどこに繋がる? 答えは海上保安庁。


 陸で起こる事故や事件は警察や消防に通報するが、海で起こる事故や事件は海上保安庁の管轄になる。

 海で遭難したり溺れたりした時、119番に電話をかけると消防から海保へと連絡を回すことになる。

 直接118番へ通報すれば、その分早く助けが来る。

 つまり生存救助率が上がる。


 実は118番は平成十二年(二〇〇〇年)五月から運用開始された比較的新しい番号で、その分世間での認知度も低い傾向にあったりする。そこで、海上保安庁では平成二十二年(二〇一〇年)より一月十八日を「118番の日」に制定して認知を促しているというわけだ。

 海保公式によると、118番は海上保安庁緊急通報電話番号で、次のような事案が起こった場合に通報してねと明記している。


 一、海難人身事故に遭遇した、または目撃した。

 二、密輸、密航事犯などの情報を得た。

 三、見慣れない船、不審な船を発見した。

 四、油の排出などを発見した。


 正直、二〜四については漁師や海運業でもない限り、なかなか機会はないだろうが、一についてはマリンレジャーを楽しむ際に是非とも知っておきたいケースである。

 通報の際は「いつ、どこで、何があった」を落ち着いて伝える心構えが大事だそうだ。とりあえず、頭の片隅に置いておきたい。


 因みに公式が公開している平成三十年(二〇一八年)一月一日から十二月三十一日までの一年間に寄せられた通報は、およそ四十三万件だったそうだが、実に九九パーセントが非有効架電——要するに「いたずら」や「間違い」電話だったという……本当に救助を必要としていた一パーセントが、どれだけ割を食ったかと思うと居た堪れない話だ。

 118番が設定されて以降の非有効件数のおよそ半数が着信時の即断——平たく言うとワン切り、次に多いのが間違い電話という傾向だったのだが、スマホが普及し始めた平成二十三年(二〇一一年)以降は無言電話が一位に躍り出るという謎現象が起こっている。


 わざわざ、個人のスマホで海保に電話をかけて黙っているという状況が意味不明すぎる……。

 そして、現在もその傾向は続いているようだ。


 もしかしたら、海難あるいは人身事故に遭遇してスマホを握りしめてパニックになっているという状況なのかもしれないし、事あるごとに画面を誤タップして何故か海保に繋がる——という珍事なのかもしれない。

 イタ電、ワン切りなどもってのほかだが、うっかりとした間違い電話にも、くれぐれも気を付けたいものだ。それだけで、救える命が増える可能性は十二分にある。

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