一月十五日 いい手の日
制定したのは「暮らし感じる、変えていく」のキャッチコピーでお馴染みP&G(プロクター&ギャンブル)だそうだ。
同社の石鹸といえば、明治十二年(一八七九年)発売の「アイボリー」が有名だが、ロングラン商品とはいえ主力かと言われると、現在では他製品ブランドが多すぎるため、今ひとつインパクトに欠けるかもしれない。
因みに手洗いについては、別途ユニセフが制定している「世界手洗いの日(十月十五日)」というのも存在していて、実際のところ、こちらの方が世界的認知度は高いと思われる。
昔から日本では「家に帰ると手洗いうがい」「ご飯の前には石鹸で手洗い」など事あるごとに小さい頃から手洗いを教えられているが、ここ数年のコロナ禍でますます「手洗い」の重要性に注目が集まるようになった。
というのも、コロナウィルスに限らずインフルエンザや一般的な風邪なども含めた多くのウィルス感染について、飛沫や空気感染よりも圧倒的に「手」を媒介して体内に取り込み、感染してしまうケースが多いとされている。
だからこそ「手洗い」が大事ということらしい。
一例を挙げると、手のひらに一億個のウィルスが付着していたとする。
およそ十五秒の流水オンリー手洗いでウィルスの掌残存率は一パーセント(約一万個)にまで減少するという。
さらに石鹸で十五秒から三十秒もみ洗いした上で十五秒程度流水で洗い流すと、残存率は〇・〇一パーセント(数百個程度)にまで減るそうだ。
予め泡立っているようなハンドソープだと同じ時間の手洗いでウィルスは数十個にまで減少し、二回繰り返し洗えば物理的にほぼ完全に洗い流せるという検証結果があるらしい。
正直汚れ具合や洗い方によって結果は異なると思うのだが、付着しているウィルスの絶対数が減れば減るほど、感染リスクを回避できる可能性が高まるというわけだ。
数十個程度なら自前の免疫力で十分に抵抗できる見込みも増す。
さて、肝心の洗い方だが、押さえておくべき手洗い箇所は大きく六つに別れている。
すなわち、手のひら、親指の付け根、手の甲、爪の間、指の股、手首である。意識するだけでも今後の手洗いがきっと変わってくることだろう。
余談だが、石鹸の起源そのものは、紀元前三千年頃——初期の古代ローマとメソポタミアまで遡るそうだ。
サポーと呼ばれた丘(初期のローマは元々七つの丘から成り立っている)で神殿に備える羊を焼いていたところ、滴った油脂が
その油と灰が混ざった焼け跡の土が「何やよう分からんけど、汚れ落ちよるな」と気付いた古代ローマ人によって、石鹸ベースが生活に取り入れられていったそうだ。
そして同時期、メソポタミアでは木を燃やした灰に油を混ぜて同じように石鹸ベースを作っていたらしい。こちらは主に医療目的で漂白なんかにも使用していたとされている。
いずれにしろ、古代人の衛生観念は、現代人に勝るとも劣らず優れていた可能性が高い——ということだ。
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