一月七日 世界初「消救車」を千葉県松戸市に配備した日

 消救車(消防救急自動車)——聞き慣れないが、書いて字の如く「消防車の消防機能と普通救急車の救急機能を併せ持つ特殊緊急車両」のことである。


 開発したのは、消防車や消化器等の製造販売国内シェアトップを誇る株式会社モリタホールディングスで、第一号車両(FFA-001)を配備した平成十七年(二〇〇五年)一月七日を記念日に制定している。

 一般社団法人 日本記念日協会も認定しているオフィシャル記念日だ。

 ちなみに FFA はそのまま、Fire Fighting Ambulance の頭文字をとったもので、「世界初」は同社の商品カタログに記載された触れ込みだそうだ。


 一台で二役を兼ねる消救車は、車両の前方部分にポンプを搭載し、後方は救護スペースとなっていて災害救助現場での活動スペースを効率的に確保できる点がメリットとされているのだが、同時機能はできないという……。

 要するに、怪我人が多い現場に派遣された場合は救急を優先し、そうでなければ消火活動を優先するという運用方法らしい。

(地上ではケータイ、地下ではPHSの謳い文句が売りだったドコモ「ドッチーモ」みたいな感じか。伝われ)


 お値段およそ二千万円(当時)——消防車(約千五百万円、当時)と救急車(約九百万円、当時)を一台ずつ購入するよりは、若干のお買い得感を出している(?)そうだが、駐車スペースや特殊車両の維持管理費を考慮した場合、比較的小規模の自治体などではニーズがあるという。


 しかし、遡って二〇〇二年にコンセプトモデルが登場した当初、消救車は法律という大きな壁にぶち当たることになる。

 というのも、車体の色味や素材、サイレンの音などはそれぞれ法律で定められていて、消防車と救急車ではその内容が異なるのだが、その辺りは自治体との調整で機器配置を見直し、また一部法改正が後押しして、うまく対応したもようだ。

 その結果、車体の前方部、側面、後方部でツートンの塗り分けがなされ、ストレッチャーや人工呼吸器といった応急機器を搭載した上で、運転席からのウォークスルーが可能となり、消防規格をクリアし尚且つコンパクト化した消火ホースを搭載、消防車として出動した先で臨機応変に救急活動へシフト運用が可能となった。

(松戸市では一応「消防車」として登録しているが自治体別カスタムが利くもよう)


 松戸市の第一号ののち、京都市消防局、青森県むつ市大畑消防団、福井県嶺北消防組合、福岡市消防局、北九州市消防局等に配備されているそうだ。

 余談だが、この「消救車」——働く車シリーズとして実は正式にトミカも発売されていたりする。(現在は生産終了)

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