2021年12月編

十二月一日 一万円札が発行された日

 昭和三十三年(一九五八年)十二月一日。

 高度経済成長期からのバブル好景気に向けて、日本は着実にインフレ街道を突き進んでいた。

 そんな時代背景もあり、高額紙幣の必要性が出てくる。

 戦後登場した千円札に続き、昭和三十二年(一九五七年)には新紙幣として五千円札がお目見えしていた流れからの翌年、一万円札登場というわけである。


 それが、縦八四ミリ、横幅一七四ミリ寸法の表面には聖徳太子、裏面には一対の鳳凰、そして法隆寺夢殿の透かしが入れられた新紙幣だった。

 因みに、聖徳太子バージョンは日本銀行公式によると昭和六十一年(一九八六年)一月四日に発行停止されている。


 現在の一万円図柄はもちろん福澤諭吉だが、偽造防止の観点から一度リニューアルされている。

 諭吉旧バージョン(黒と褐色記号のやつ、裏面には一対のキジ=D号券)は平成十九年(二〇〇七年)に同じく発行停止されている。

(発行が停止されただけで、既存流通分は使用できる)

 現行の諭吉新バージョン(ほんのりピンクが混ざるE号券)は縦七六ミリ、横幅一六〇ミリ寸法と実は若干コンパクトサイズになっている。


 そしていよいよ二〇二四年からは渋沢栄一が一万円札(F号券)の顔として登場することになる。

 裏面には東京駅丸の内駅舎が採用され、偽造防止のすき入れ模様とストライプ仕様のホログラムが入る予定だ——と言っても、実物を見ないことには何だかピンとこない(苦笑)

 キャッシュレスが叫ばれて久しい近年、それでもひっそり新紙幣を心待ちにしたいと思う。

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