十月三十一日 ハロウィン
様々なお化けの格好をした子供たちがハロウィンの飾り付けをしている明かりのついた家々を周り、「トリックオアトリート」の掛け声でお菓子か悪戯かの攻防戦を繰り広げる民間行事。アメリカでは宗教的な意味合いが薄れて季節の風物詩として楽しむ祭りとなっている。
元は古代ケルトに起源を持つ宗教儀式であった。
一年の終わりの日——つまり大晦日に当たるのがハロウィンであった。この日を境に冬が始まるとされ、秋の終わりの収穫を祝い、また同時期に死者(先祖)が帰ってくるお盆の意味合いも含まれている。
そして、先祖と一緒に魔女や妖精(時として人間に害を成す存在)もどさくさに紛れてやって来るため、迎える人間側もお化けに扮して厄除けするというような風習があったそうだ。
もっとも、こんにちのハロウィンの原型は十七世紀頃以降の話とされている。イギリス南部ではアングロサクソン系の民族に侵略されてケルト人はどんどん島の端っこに追いやられていく。
だから、ケルトの名残はスコットランドやアイルランド、ウェールズやコンウォールといった辺境の地に多く残されているし、ヨーロッパ大陸のバスク地方やイベリア半島の一部(スペイン・ポルトガル)やブルターニュ地方(フランス)に細々と痕跡が残っている程度だ。
元々が異教徒、異民族の祭りであるから、キリスト教が幅を利かせる欧米では必ずしも歓迎されている祭りではないらしい。
ハロウィン(Halloween)の語源を辿ると、All Hallow’s Eve(諸聖人の日)がスコットランド訛りのAll Hallow’s e’enに変化していき現在のHalloweenになったとする説がある。
ケルト人が追い出されたイングランド地方では、ハロウィンよりもこの時期はガイ・フォークス祭りの方がアツい。
(十七世紀初頭、英国国教会に反旗を翻し、時の国王ジェームズ一世の暗殺を企てて失敗して処刑された過激派カトリック教徒のおじさんたちの一人。大量の火薬で議場ごとぶっ飛ばそうとしてたよ。
失敗ばんざーいってロンドン中が焚き火をしたのが、こんにち市中の教会の鐘を鳴らして盛大に花火をぶっ放す祭りになったよ)
案外、ヨーロッパではアメリカほど盛り上がっていないハロウィン。むしろ十一月から本格化するクリスマス商戦とその準備に忙しい季節だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます