十月二十九日 インターネットの誕生日

 一九九〇年代後半から一般家庭に普及し始めたインターネット。

 現在、目覚ましい進化と発展を遂げて生活になくてはならない情報インフラへと成長した新時代ツールだ。我々がこうして気軽にカクカクヨムヨムできるのも、インターネットの賜物である。ありがたいことだ。


 本日は、そんなインターネットの起源ともいうべき初期型ネット通信の運用実験が行われた日である。資金提供をして主導したのはアメリカ国防省高等研究計画局。複数の大学と関連研究機関が参加した一九六〇年代を代表する一大プロジェクトだった。

 この初期型インターネットは、主導した高等研究計画局に因み「高等研究計画局ネットワーク(Advanced Research Projects Agency Network =ARPAネット)」と呼ばれている。

 データを小分けにして通信負荷を軽減し、受信側で小分けにされたデータを再集合させる分散型——いわゆるパケット通信の原型である。(パケット以前の概念では、占有型の回線通信が一般的だった)


 それまで、通信は一対一スタイルだったが、ARPAネットの登場で、複数同時通信が可能になる。その最初の実験が行われたのが昭和四十四年(一九六九年)十月二十九日だった。

 アメリカ、カルフォルニア大学ロサンゼルス校とサンタバーバラ校、ユタ大学およびスタンフォード研究所の四箇所を同時に繋ぐ実験が行われる。パケットデータ転送用のホストコンピューター同士を繋ぐ通信プロトコル(NCP)を開発したのは、当時カルフォルニア大学ロサンゼルス校の大学院生だったスティーブン・D・クロッカーだ。


 以後数年で、NCPはARPAネット通信に標準搭載されることになる。そして、ネットワークを活用するための番地とコンピュータ名は.txt形式で管理されるのだが、利用者が増えると更新頻度が爆上がりし、処理負荷がとんでもなく重たくなっていく。

「この方法、いずれ破綻しよるなあ……」

 という問題点が浮き彫りになり導入されたのがドメイン(名前)とIPアドレス(番地)変換方式=DNS(ドメインネームシステム)である。

 この辺まで来ると「あ、何か聞いたことある」的な感じになる。


 しかし、この時はまだまだ特定のハードウェアを介する「閉ざされたネットワーク」環境だったが、これがハードウェアに依存しないTCP/IPプロトコル(送信したデータが相手に届いているか都度確認する=現在の世界標準通信プロトコル)の開発によって「開かれたネットワーク」へと進化を遂げて今日へと繋がっていくのである。

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