十月三日 東西ドイツが再統一された日

 平成二年(一九九〇年)十月三日、第二次世界大戦終結後、四十年に渡り東西に分断されていたドイツが統一条約の規定にのっとり、東ドイツ(共産主義国家)が西ドイツ(資本主義国家)に吸収統合される形で再統一した日。

 現在ではドイツ連邦共和国の建国記念日として、ドイツの祝日に制定されている。


 昨年二〇二〇年が再統一三十周年だったこともあり、コロナ禍とはいえ特にヨーロッパでは大きな節目を迎えた重要な年となった。(きっと大々的なイベントとか企画していただろうにロックダウンを余儀なくされたのは何とも遣る瀬無い)


 日本でも三十周年を記念して、当時を知る日独両外交官の対談イベントが行われたそうだ。

 旧東ドイツ出身の駐日独大使館首席公使フィーツェ氏によると、幼少期、スポーツに勤しむごく普通の日常生活を送っていたそうだが、「西側へ行く」と発言すること自体がアウトであったという。

 秘密警察などがごく当たり前に配備されていた監視社会の中で、もしそれがバレるとあっさりと職を失うということが当たり前にまかり通っていた。公使の母親は、そのせいで三度失業を余儀なくされた過去があったそうだ。


 また、対談相手となった旧西ドイツ日本大使館で勤務経験のある鹿取氏は、「再統一が非暴力下で行われた」ことは特筆に値する旨を述べている。


 遡ること平成元年(一九八九年)十一月、ベルリンの壁が崩壊した際の映像は子供心に非常に印象的であったなと回顧する。

 ドイツという国土が東西にばっくり分断されていたことはもちろんだが、その中で東ドイツ側に位置していた首都ベルリンも大人の事情で東西にばっくり分割され、地図上、飛び地となってしまった西ベルリンが壁で取り囲まれていた様は、さながら進撃の巨人の如しだなあ……などと昨今思っていたら、あながち間違いじゃなかったらしい。


 余談だが、ベルリンの壁の扉を解放した国境警察官の名前を「ハラルト・イェーガーさん」というのだが、件の漫画の主人公は彼から名前をとったとする説があるそうだ。

 そして奇しくも、壁が崩壊した十一月九日に合わせるかのように、漫画内の最初の壁ウォール・マリアが突破された回が掲載されたのが、十一月九日発売号だったらしい。

 改めて、作者の張り巡らせていた伏線の細やかさがエグい(褒め言葉)と思った今日この頃だ。

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