九月十六日 JRA発足記念日

 昭和二十九年(一九五四年)九月十六日に、民間事業団体としての競馬——日本中央競馬会(JRA)が発足した。元々、競馬は国営事業(農林省畜産部の管轄)だったのだが、JRAは特殊法人という立ち位置で公共性を維持している団体となっている。


 とはいえ、法人の資本金は全額政府出資だし、法人自体も農林水産大臣の監督下に存在しているので、厳密に民間事業と銘打つには書いて字のごとく「特殊」であると言える。


 私自身、賭け事としての競馬はしたことはないが、どハマりしていた学生時代の先輩に競馬場へ連れて行ってもらったことがある。確かに、生で見る競走馬の迫力や美しさは圧巻であった。

 ハマることはなかったが、それでも中継で馬を見るのは嫌いじゃない。

 そして改めて思うのは、場外馬券場は割と足場が散らかったり謎の新聞紙席取り合戦が繰り広げられていて、非常にディープな雰囲気を感じたが、レース場は思いのほか綺麗に整備されてるんだな、ということだった。

 JRA公式によれば、その辺りは一応世界的に見ても高水準をキープしているらしい。あと、日本は馬券の売れ行きも好調とのことだ。


 しかしやはり、競馬の本場といえばイギリス、ロイヤルアスコットを外せない。女王陛下も賭け事に興じる伝統行事である。

 名だたるお貴族様や財政界のセレブリティがこぞって正礼装でうち集い、シャンパン片手に一等席で優雅に観戦するさまは流石の一言に尽きる。


 ご婦人方の「帽子コンテスト」も名物だ。毎年恒例のパリコレばりに気合の入った(カネのかかった)趣向づくしの帽子の出来を場外で競い合っている。

 そして庶民はピクニック感覚でサンドウィッチやエールを持ち寄り、芝生に座ったり寝転んだりしながら、ゆるーっと遠くの競馬を観戦するのだ。(この部分は日本の競馬会には無い光景だろう)


 この手の話題には、よく「馬(生き物)を酷使して金儲けなんて……」というアンチ派のコメントが散見されるが、それも確かに一理ある。

 サラブレッドはガラスの脚なんて表現もあるくらいだ。不慮の事故で安楽死を余儀なくされる個体もあるのは悲しいことだが、競馬の歴史はざっくりと馬が畜産化された古代ギリシャまで遡ることになる。

 そこから脈々と近現代まで続いている事実もまた、凄いことだなと個人的には思っている。これだけ医学の発達した現代、願わくば「アンチ競馬」ではなく、「馬が故障していたのは過去の話」と言えるケアが叶うと良いなと思う。


 しかし、ジョッキーを抜きにしても、あの細い脚でよく数百キロにもなる馬体を支えられるなあ……と馬の軽やかな動きを見るたびに感心する。

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