九月九日 重陽(菊の節句)

 古来、中国では奇数は縁起の良い数字とされてきたという。

 陰陽思想で言うところの「陽」に当たるからだそうだが、その最大奇数である「九」が重なる日=重陽ちょうようというわけだ。


 ただし、陽の気ばかりが強過ぎても具合が悪いという理屈で、元は邪気払いの意味合いが強い節句だったそうだ。(だいたい三世紀ごろの話らしい)

 しかし、何だかんだで時代が下ると飲めや歌えや「めでたいお祝いの日」になった。(旧暦では)菊の季節でもあるから菊酒を酌み交わして長寿を祈願したそうだ。


 日本にこの風習が入ってきたのは平安時代の頃だと言われている。やはり菊花を入れた酒を飲んでいたらしい。


 昨今、食用菊には抗酸化作用が見込まれるビタミンCや、血行促進効果のあるビタミンE、皮膚や粘膜に良いとされるビタミンB2など豊富な栄養価が認められている。さらには殺菌作用もあったりする。

 ざっくり一言にまとめると、アンチエイジングというやつだ。長寿祈願が割と科学的根拠に基づいていることに驚く。

 否、昔から何でも食べる国民性だったんだなと改めて納得する。


 他にも、菊湯に浸かったり、乾燥させた菊花を枕に入れて安眠するなど健康に気を遣ったイベントである。季節が移ろい朝晩の寒暖差が大きくなっていく時節、くれぐれも体調管理には気を付けたい。

 さて、菊の花をアテに日本酒をば、一献いっこんいただこうかと。

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