2021年9月編

九月一日 関東大震災発生日

 大正十二年(一九二三年)九月一日、十一時五十八分。

 昼時に差し掛かっていた関東一円を襲った大災害が起こった。


 関東大震災。

 南関東および隣接する地域一帯から静岡に至るまで甚大な被害をもたらし、推定死者・行方不明者のべ十万人以上とも言われている、明治以降最大規模とされてきた地震災害だ。(現在は3.11東北地震が記録を更新している……黙祷)

 もっとも多かった死亡原因は焼死であったとされている。

 木造家屋が密集していたことはもちろんだが、日本海側を北上中だった台風の煽りを受け、関東地域一帯に強風が吹き荒れていた風害の一面を併せ持っていたという。


 未曾有の災害規模に直面し、被災地東京では国会機能が完全に麻痺していた。震災の一週間ほど前に当時の内閣総理大臣が急死してしまったため、一時期、外務大臣が内閣総理大臣を兼務するという、あり得ない状況で災害対応に追われていたらしい。

 もっとも、この頃の復興支援には外債が大量に投入されている。外務大臣の出番だったことは一応、理解できる。


 J.Pモルガン(モルガン商会)、ロスチャイルド等々名だたる世界の大富豪事業主の名前が連なるのは、ある意味圧巻だが、実態としては震災復興の名目で、当時の最先端大型事業である火力発電をぶっ込んできたわけだ。


「ちょ……っ、人道復興支援優先して !? 」

 きっと当時の被災者はそう思ったことだろうが、私も全く同意である。人智を超えた金持ちの銭ゲバが過ぎる。


 ただ、国内の官民はそれなりに頑張った。

 行き場を失い神宮や日比谷公園に押し寄せる被災者のために、軍用テントの造設を急いだり、軍人は負傷者の救護と治安維持に努め、関西他府県の財閥、宗教団体などからは大量の仮設バラックが寄付されている。(ただし、避難所周辺の治安が一気に悪くなり、最終的には撤去を余儀なくされている)

 また、この震災をきっかけに迅速な情報共有の一環としてラジオ放送が一気に普及していくことになった。


 かたや、グダグダの警察消防関係者は、行動の早かった軍隊とは相対的に信用を落としてしまった負の面もある。

(ポリス普段偉そうなくせして、あかんやん! という感じだろうか)


 何にせよ、いにしえの昔から自然災害の耐えない日本だ。

 現在では、関東大震災の起きた九月一日を「防災の日」として、啓発を促す日となっている。今一度、身の回りの災害備蓄品を確認する良い機会としたい。

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