八月四日 日本初のビアホール始めました
恵比寿ビヤホール。
日本初のビアホールとして開業したのは明治三十二年(一八九九年)八月四日、東京銀座八丁目の地であったという。
工場直送の出来立てほやほやビールが楽しめる施設——日本で初めてという気負いから、命名にも力を入れていたようである。
英国式サロンといえば、上品で上流社会を連想させる言葉だが、そのイメージを踏襲して「ビヤサロン」と仮決定したところ、当の英国人宣教師に待ったをかけられたという。
曰く、確かに「サロン」は上品で優雅な社交場を指す言葉だが、当時日本に定着しつつあった「サロン」のイメージは、横浜の歓楽街(要するにイカガワシイ)であったため、やめた方が良いとのことだった。
で、どうする? と再び話し合った結果、ビールを楽しむ大会場的な意味合いで「ビヤホール」に変更された。何事も最初のイメージ戦略は大事だということだろう。
これが、当たりに当たった。
実際の店舗敷地はそこまで大きくはなかったようだが、味には東京(というより気風は江戸っ子)民大満足である。
しかし、ツマミには不満があったようだ。スライス大根(ラディッシュの代わり)しか出していなかったのだから、さもありなんと言える。
いや、ピーターラビットかよ!(代わりにツッコんでおく)
(因みに、イギリス人は基本的にエールさえあれば、つまみはいらねえという残念味覚党なので、そもそも美味いつまみという概念がない。芋を与えておけば、それはご馳走と受け取る)
しかしここは日本だ。そうは問屋が卸さない。
ビヤホールでは佃煮を提供し始めたところ「話分かるやーん!」と大好評だったらしい。
ビールのお供に美味いアテは必須である。さて、エビス買いに行くか。
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