八月三日 秋田竿燈祭り(ただし今年は中止)

 例年八月三日から六日にかけて行われる東北四大祭りの一つ「秋田竿燈かんとう祭り」。

 長さ十メートルを超える竿にいくつもの灯火が飾られ、重さ五十キロにもなるという竿を体の一部だけで支えながら大通りを練り歩く、その数は二百本を超えるという秋田を代表する夏祭りの一つである。

 もちろん、この祭りも国の重要無形民俗文化財に指定されている。


 原型となった祭りの最古文献は寛政元年(一七八九年)であるというが、祭りそのものは宝暦年間にはすでに存在していたようだ(公式サイトによる)。

 宝暦といえば江戸時代、この頃の徳川家の将軍さんは九代目(家重)、十代目(家治)のあたりだろうか。文献によると病魔や邪気を払う真夏の祭りとして、すでに秋田名物と認識されていたようである。


 昨今、灯りといえば何かとLEDに置き換えられてしまうが、この祭りで使用される灯火は伝統的に蝋燭であるという。灯火に使用された蝋燭は安産のお守りになるそうだ。蝋燭の残量が短ければ短いほど、お産の時間も短いという験を担いでいるらしい。

 そして、いくつもの灯火を長い竿一本で支えながら歩くため、その構造にも工夫があるという。万が一、転んだり煽られたりすると、そのイレギュラーな衝撃によって灯火の中に大量の空気が入り蝋燭の火が消えるという仕組みになっているそうだ。

 聞けば単純な話だが、よく考えられていると思う。(もっとも、祭りのたびに大惨事になるようじゃ無形文化財にはなれないだろうな、と冷静に思う)


 そんな竿燈祭りだが、こちらもコロナ禍の影響をもろ被りしているため、二〇二一年度祭りは中止される運びとなったようである(涙)

 来年に期待したい。

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