七月三十日 明治天皇祭

 明治四十五年(一九一二年)七月三十日、第百二十二代明治天皇が崩御された。当時は現行の祝日法は施行されていないため、新天皇(大正天皇)が即位すると先帝の崩御日は祭日になった時代だ。


 はて、祭日。崩御日なのに祭り? と思うのは現代人の感覚で、当時は亡くなった先帝の偉大さを讃える日という捉え方をしていたようである。

 そもそも神式では、故人は死後五十日で神になるので、喪が明けると五十日祭を執り行い、この儀式から忍び手(寸止めして音を立てない拝み方)ではなく高らかと柏手を打つようになる。だから、仏教の四十九日法要とは少し毛色が異なると言える。


 さて、そんなカミサマになった明治天皇が祀られているのがお馴染み東京渋谷区代々木に鎮座する明治神宮である。

 年末年始の大行列もさることながら、重要な節目では皇室の方々もご参拝される神宮として、何かあるとメディアを賑わせる明治神宮では七月三十日に明治天皇祭を取り行っているという。


 公式サイトでは崩御日にあたって「御聖徳を敬仰追慕する祭典」とのことだ。この一連の儀式中で神宮内では唯一、神職による雅楽舞が披露されるというが、舞に合わせる和歌は明治天皇が遺した作品に曲と振り付けを施したものだそうだ。

 つまり、作詞・明治天皇、作曲・振り付け、明治神宮神職一同ということになる。何とも雅な祭りである。


 ちなみに、大正時代以降はから外れるため、七月三十日は平日となった。そのため今度は誕生日を記念して、こんにちも祝日に制定されている。それが、十一月三日の文化の日だ。

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