七月二十九日 エトワール凱旋門ができました

 シャルル・ド・ゴール広場から放射線状にパリ市内を走る十二本の大動脈——その姿が星のようであったことから、かつて「星の広場ラ・プラース・ド・エトワール」と呼ばれていたこの場所は、フランス屈指の観光名所の一つである。

 誰もが一度は耳にしたことがあるであろう、シャンゼリゼ通りから繋がる西端に、件のエトワール凱旋門はそびえている。


 かつてナポレオン一世が、アウステルリッツの戦いに勝利したことを記念して建設を命じた、おそらくもっとも有名な門だ。

 文化三年(一八〇六年)八月十五日に着工し、天保七年(一八三六年)七月二十九日に完成した新古典主義の傑作である。


 ちなみにナポレオン一世自身は文政四年(一八二一年)五月五日に南大西洋のセントヘレナ島で死去しているため、完成した姿を知らないということになる。


 凱旋門本来の意味合いとしては、古代ローマの時代に端を発した軍事的勝利の象徴であり凱旋式を行うための施設であるため、強い国ならたいてい凱旋門の一つや二つ建てているものである。

 フランス軍が最強だった時代は目下、ナポレオン一世下が顕著だろう。パリ市内には他にも凱旋門と名のつく建築物が複数存在している。


 日本も、日清・日露戦争時が凱旋門建設ラッシュの最高潮だった——という時代があるらしい。モデルはもちろんエトワール凱旋門だったそうだが、残念ながらその多くは結局取り壊され、こんにちでは静岡や鹿児島に数基残っている程度だという。

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