六月二十四日 ユ・ユ・ユ UFO記念日
数年前に大流行したUSA的なノリでエピソードタイトルを読んでもらえると作者的本望である。
戦後間もない昭和二十二年(一九四七年)六月二十四日。アメリカ合衆国ワシントン州に
俗に、目撃者の名前からケネス・アーノルド事件と呼ばれている。
登山中に遭遇したのではない。懸賞金目的で自家用ジェットをぶっ飛ばし、付近で消息を絶ったとされる海兵隊輸送機を捜索していた時のことだ。
右へ左へ、不可思議な俊足蛇行を繰り返す九つの光に遭遇したという。
飛行物体には浮力を得るための大きな両翼もなく、方向をコントロールする尾翼も見当たらず、あまつさえエンジン音も聞こえてこない謎だらけの円盤型をしていたそうだ。
メディアは面白がって「フライングソーサー」と見出しをつけて大々的に報道し、それがこんにち我々が想像するいわゆる
この時、目撃者はただ物体を目撃して驚いていたわけではなく、物体の動く距離を点と点の間に区切って計測していたという。すると理論上、毎時一七〇〇マイルという考えられない速度で飛んでいたそうだ。
一マイル=一・六一キロメートルと換算して、時速二七三七キロメートル……計算合ってるか、これ。
思わず電卓を叩き直すような笑ってしまう速度だ。音速どころの話ではない。(音速はばっくりと時速一二二五キロメートル=マッハ
今時の若い世代は知らないかもしれないが、英仏共同開発の燃費効率が悪すぎる超音速旅客機コンコルド(二〇〇三年に全機引退済み)よりもまだ速いことになる。
爆音を轟かせて飛ぶような機体じゃないと出せない速度だが、フライングソーサーはDCモーター搭載かな(?)という超静音仕様だったようだ。(扇風機の前で宇宙人ごっこをするのは昭和世代のDNAに染み付いた行動である)
さて、当然世論は一定数「見間違いだろ」というアンチコメントも含め賑わうのだが、その後の追跡調査で別の目撃証言が次々と出たことにより、娯楽メディアから最終的にアメリカ空軍が管轄する一大プロジェクトへと発展した。
そして、その最終的な報告書には「確かに謎物体飛んどるわ」と結論付けられている。
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