六月六日 梅雨は縁起が良いそうな?

 梅雨。

 一説によると梅の実がなる頃に降る雨だから梅雨と表現するとか、また一説によると雨による湿気でカビの生える時期だから黴雨ばいう転じて梅雨になったとか、由来は諸説あるらしい。

 その中に、少し毛色の変わった由来がある。

 それは遡ること天文十四年(一五四五年)、室町時代の頃である。


 ちょうど、今川氏と北条氏がドンパチしていた河東の乱(第二次)や河越城の戦いあたり、近江では浅井長政がオギャーと誕生したあたり。


 天文期の日本は、コンスタントに風害水害に見舞われ続けているのだが、十四年はどうしたわけか日照り続きで農作物が育たず、人々が困り果てていたという。

 そこで時の帝(御奈良天皇)が加茂別雷神社(通称、上賀茂神社)に梅を奉納したという。

 なんでも、「そないしはったらよろしおすえ」と御神託があったそうだ。雷様は総じて梅がお好きなのだろうか。


 そしてどうなったかというと、「なんということでしょう。祈りが通じたのか、雷鳴と共にざあっと雨が降り始めたではありませんか」と加藤み◯りが驚嘆した。


 喜んだ人々は、この天恵を「(雷様の)梅の雨」として、大変に縁起の良いものとして扱うようになったという。そして、「梅すげ——」ということになり、厄除け除災、疫病退散の縁起物として梅を贈る習慣ができたそうだ。


 現在では、和歌山県田辺市の農業振興課が管轄する「紀州梅の会」が六月六日を「梅の日」に制定して、商魂たくましく南高梅の販促に努めている。

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