五月二十三日 郵便貨物用の地下鉄が走った日

 東京駅〜東京中央郵便局(現在のJPタワー)間の地下、およそ二〇〇メートルの区間を、電気機関車が輸送貨物台車を牽引したのが大正四年(一九一五年)のことだ。旅客車に先駆けて十二年ほど前の話である。


 地下鉄と大業に表現するのははばかられる距離ではあるが、日本においてレールの敷設された地下隧道すいどうを電気機関車が走行したのは、これが初めての試みだった。

 この郵便物運搬用の隧道工事に着工したのが明治四十三年(一九一〇年)一月四日のことであり、そこから四年かけて大正三年(一九一四年)十二月十四日に工事を終え、そこから地下軌道を敷設して完成したのが翌年三月だ。


 完成当時の概要は次のように記されている。


 総延長六十チェーン九十(前出のイギリス式距離の単位。およそ一二二五メートル)、軌条幅員六十一cm十二cg。隧道幅四メートル、高さ二・二五メートル。

 単位が混ぜこぜになるのも致し方ない。鉄道技術はイギリス由来であるし、この頃の日本は尺貫法とメートル法が併用されていた時期だ、ご愛嬌である。


 ここでふと疑問が残る。

 東京駅と郵便局間はおよそ二百メートルしかない。

 路線としては、局内から八重洲側線路の距離+そこから枝分かれするホームの南北隧道×二線の距離が、およそ六百メートルに相当する。上下二車線で総延長という計算だろうか。(合ってるかな?)

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