五月十九日 福岡県に隕石落ちた

 世は波乱の平安時代前期。貞観じょうがん三年(西暦八六一年)五月十九日、現在の福岡県直方のおがた市に隕石が降ってきた。

 目撃情報が残っている世界最古の隕石ということで、「直方隕石」と正式名称が付いている(落下時期については諸説ある)。


 現在、須賀神社にまつられているこの隕石は、重量およそ四七二グラム、L6に分類される普通コンドライトのケイ酸塩鉱物である。(余談だが、L6とは、コンドルールという多くの隕石に含まれている球粒状の構造組織の特徴が、やや不明瞭という区分らしい。ふーん)


 この貞観期の日本は、ぶっちゃけ天災人災のバーゲンセール期と重なる。


 貞観三年、隕石落下。

 貞観四年、近畿地方に疫病流行。

 貞観五年、越中越後地震発生。

 貞観六年、富士山噴火。(貞観の大噴火)


 一年空けて貞観八年、応天門の変。

(名門貴族とも氏、 VS 藤原氏戦で失脚。因みに伴氏は菅原道真の母方一族である)


 貞観九年、阿蘇山噴火。

 貞観十年、播磨・山城地震発生。

 貞観十一年、貞観津波地震発生。

(3.11 東北地震と同等規模だったとされる大災害)


 貞観十二年、菅原道真、官僚受験合格。

(この時の試験には前年の貞観津波地震が出題されたそうだ。この辺から藤原氏に密かにロックオンされる)


 貞観十三年、鳥海山噴火。

 二年空けて貞観十六年、開門岳噴火。


 とまあ、こんな感じで、人事も天地も歴史が動くどころか怒涛の地滑りを起こしているのである。

 ばくっと千年と少し前の今日、そのファーストランナー的ポジションの隕石が降ってきた日だ。

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