五月二十日 世界計量記念日

 明治八年(一八七五年)五月二十日、花の都フランス・パリ市で、長さの単位を統一しようという提唱がなされた。それが、「メートル条約」である。

 賛同したヨーロッパ十七カ国が加盟した。(ヤード法を採用しているイギリス、尺貫法を採用していた日本は、この時の加盟を見送っている)


 この条約によって、一メートルは「北極点から赤道までの子午線の一千万分の一」と定められた。地球の円周は四万キロメートルであると定義されたのもこの時だ。


 十年後の明治十八年(一八八五年)に、日本もようやくメートル条約に加盟する。その後三十六年間は、伝統的な尺貫法と併用されたが、大正十年(一九二一年)にメートル法を使用することを定めた法律が施行され、現在に至る。

 余談だが、イギリスは現在も尚、インチ・フィート・ヤード・チェーン・ハロン・マイルを単位として使用している。引き続き日常生活において「栄光ある孤立」を選ぶ国民性らしい。(一部には反メートル法運動を展開する市民も存在するとか)


 さて、表題の「世界計量記念日」だが、この記念日自体が制定されたのは平成十一年(一九九九年)になってからである。

 提唱人は、当時、日本人初の国際度量衡委員会こくさいどりょうこういいいんかいの副会長を務めていた飯塚幸三氏だ。


 この名前を見て、「おや?」と思ったそこのあなた——そう、マスメディアとSNSで「上級国民待遇か!」と叩かれまくる池袋暴走おじいさんである。

 計量学を専門とする東大工学博士であり、通産省技官であった華々しい経歴の持ち主だが、どうしてこうなってしまったのか……暴走の犠牲になった方々が、ただただ偲ばれる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る