五月八日 世界赤十字デー

 前出の赤十字創設者、とあるスイス人実業家アンリ・デュナン氏の誕生日。


 安政六年(一八五九年)。

 北米カナダでは「最近、ヨーロッパから人来ないねえ。何してんだろ?」と言っていた頃、オーストリアの支配下にあった北部イタリアでは、第二次イタリア独立戦争が勃発していた。


 北イタリア+フランス VS オーストリア戦。


 ヨーロッパ最大級の帝国オーストリアからは、フランツ・ヨーゼフ一世が出陣し、北イタリア(サルデーニャ王国)からはヴィットーリオ・エマヌエーレ二世、フランスからはナポレオン三世が出陣した。


 世界戦史上、これが戦争当事国の国家君主自ら戦地へ赴き、指揮を取った最後の戦いであるとされている。


 単純に兵士の頭数だけで言えば、オーストリア約十万に対して、連合軍約一二万と上回るが、大砲数はオーストリアの方が百門ほど上回った。


 午前六時に火蓋を切った戦闘は、両軍二十万を超える兵士が入り乱れ、九百門を超える大砲が互いに火を吹いた。

 正直、この状況で指揮系統の統率など、土台無理な話で、戦局は混沌とし、戦線は阿鼻叫喚したという。


 午後二時、戦場となったソルフェリーノが陥落し、オーストリア軍が撤退したことで、結果的にフランスの援助を受けたサルデーニャが勝利した。

 しかし、両軍の払った犠牲はあまりに大きかった。

 書類の上では和平合意されたものの、多くの死傷者が、そのまま戦場に放置された。


 そして、その惨状を当時、三十歳あまりであったアンリ・デュナンは目の当たりにしたという。こうして、「敵味方関係なく人命は大事」という理念の国際活動団体、赤十字は発足した。

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