オンラインオフ会!②




キャラと性別が違ういわゆるネカマというのはよくあることだが、そういう場合オフ会には基本的にノータッチだろう。 だがあまりに強引に決まってしまい、ネオは断るに断れなかった。 

今後の活動に影響するのは間違いなく、下手すれば活動生命が断たれてしまうのかもしれない。 Vチューブ活動は収入に直結しているためそれは困る。 しかし、決まってしまった今断るのは難しい。 

1月1日。


「つーわけで! 智夏(チカ)、頼む!!」


幸いなことにネオには彼女がいた。 一緒に初詣へ行きながらオンラインオフ会の話をする。


「えぇ!? 私が代わりに出るの?」

「そう! 一生のお願い!」

「その一生のお願いを今使っちゃう?」

「うん、まぁ・・・。 そりゃあアイツらは大事なメンバーだから」


思い浮かぶのはメンバーのことで、プライベートの事情で関係を壊したくなかった。


「私、みんなのことは何も知らないよ?」

「みんなのことはある程度教えるからさ。 実際は返す内容とか全てLIMEで送るから、それを見て返事をしてくれればいい」

「私、ゲームもできないけど」

「もしゲームで遊ぶ時が来たら、俺が操作するよ。 智夏は実況的な感じで喋っていればいいから」

「でも私、身バレもしたくないんだけど」

「それも大丈夫。 マスクはしていいみたいだから」


全ての疑問に答えていると、智夏は断るのを諦めるように溜め息をついた。


「失敗した時が怖いなぁ・・・」

「大丈夫。 智夏に責任は負わせない!」

「そうは言っても」

「その日は俺の家に泊まりにきてもいいから!」

「あ、当たり前でしょ!」


普段は互いの家に泊まることなど滅多にない。 智夏はそれを意識したようだ。


「・・・それで、どう? OKしてくれるか?」

「・・・分かった。 その日は全部奢りね」

「よしッ! ありがとな、智夏!」


早速打ち合わせに入った。


「えぇ!? ごんちゃん、萌えキャラでやっているの?」


ごんちゃんというのがネオの智夏がいつも呼ぶあだ名で、ネオがVチューバ―の特徴を言うと智夏は明らかに引いていた。


「女キャラのVチューバ―の方が人気が出そうだからな」

「女キャラでやっているのは聞いていたけど・・・。 まさかそんなに痛い感じだったとは」

「痛くねぇよ!」

「いつもはどうやって声を変えていたの?」

「変声機を使ってさ。 よくいるみたいだぜ」

「ふぅん・・・。 それで、ルイくんが大人しい感じの子?」

「そうそう。 音は真面目だけど少し気弱そうなイメージかな」

「それでリトくんが元気なショタと」

「実際ショタかどうかは分からないけど。 みんな年齢を公開してないから分からないんだ」

「あまりプライベートを出さないように注意しないとね・・・」

「でもおそらく、オフ会をしたら大体の年齢は分かると思うぞ」

「その相手が本人ならね?」


そう言って智夏はネオのことを見る。


「いや、俺も智夏も同い年だから!」

「で、最後はミナちゃんか。 この子はリアルもそのままギャルっぽいイメージだなぁ」


智夏は実際にアーカイブの配信を見ながらみんなのことを分析している。


「どうだ? みんなのこと、一通り分かったか?」

「一応ね。 こんな可愛いネオの配信がごんちゃんだと思うと、毎回寒気がするけど」

「それは慣れてくれ。 それを今度は智夏が演じるんだから」


そう言うと明らかに智夏は嫌そうな顔をしていた。



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