第5話
もし採取して来なかったら何かしらの罰が待っているに違いありません。
…考えれば考えるほど、不愉快さがちょっとじゃなくなってきました。
こんな悪質なことをしたのは誰でしょうか…?
ちょうど休みに入ってしまったのが惜しいです。昨日知っていたら、その日に犯人に裁きを与えられたのに。
「…レンさん。そのご依頼をされたのはどなたですか?」
「知ってどうするんだ?博愛主義の方は気にせず」
「人間ですか?」
間髪入れずに問う。
レンさんは図星なのか顔を更に歪めた。
「…それが、どうした?」
「いえ、そうですか…やはり人間ですよね…」
…あはは、そっか。やっぱそうだよね。分かってはいたけど本人の口から聞かされるのはまた違うもんだ。
人間失格はまたすぐそばに出てきたみたい。
これは、お掃除を開始しないといけない案件のよう。
…あははっ。楽しみだね!
お片付けを出来ると考えるだけで心が浮き立つよ。それも、今回は大仕事。張り切っちゃって周りの人も巻き込んじゃうかもなぁ。
ま、それは私のポリシーに反するのでやんないけどね。
「…では、ポポーを取りに行きますか」
「いや、だから今の時期は無いんだって」
「野生じゃないですよ。…採取して来いとは言われてませんよね?」
「いや、まぁ…」
にっこり微笑んで尋ねると、困惑した表情で頷いた。
「なら、問題はないですね」
アポ無しとなると少しお叱りは受けるかもしれませんが…今回は許してくれるでしょう。
「今から、魔女に会いに行きましょうか」
「…ん?」
何を言っているか心底分からないという感じですね。
私も何も知らなかった頃はそうでした。懐かしいものです。
失礼ながら、なんだか昔の私を見ているようでつい頰が緩んでしまいます。
簡潔に魔女を説明致しますと、魔女とは世界の異端者とされています。
ですが、獣人が奴隷のようなものだとすると、魔女は雲の上の存在のような感じで一目置かれています。
見つけたとしても、手を出す事など許されません。
そういう意味では一部の地域からは神聖な者として扱われているそうです。
しかし、当然ながら会う事は難しいです。確か…数年に一度誰かが会うかどうか分からないぐらいだったはず。
会う魔女もみんな一緒であるので、お散歩をしているところに出会しているみたいですね。
その一人の魔女にしか会えないので、魔女は一人なのではと言われています。
まぁ…私が会ったのは違う方なのですけど。
「ま、魔女って…あの魔女か?生きる伝説の魔女か?」
「はい。ちょっと以前倒れていたところを助けた事がありまして」
「倒れて…」
唖然としていますが、あまり時間がないので後でにして欲しいですね。
「本当に、ユリイナは何者なんだよ…?魔女なんて言わないよな?」
「まさか。ですが、もし魔女でしたら沢山の方を助けられて良いですね。将来目指してみてもいいかもしれません」
それは想像するだけで幸せな事です。本気で検討してしまいそう。
くすくすと笑う私を見て我に返ったのか、一気に捲し立てる。
「だが、その魔女様にあったとしてもどうやって手に入れるんだ!?」
「創造するんですよ、魔法で」
「…っ!そんな事が可能なのか…?いや、冗談は…」
「おやおや。冗談ではなかろう」
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