第3話 未知との遭遇

 1学年のフロアは新入生の声で賑わっていた。

 僕のクラスにつくと、扉の前で1度、大きく深呼吸をした。

 大丈夫、いつもどうりに、慌てず、落ち着いて。そう自分に言い聞かせ、扉の取っ手に手をかけ、扉をそっと開いた。

 ゆっくり慎重に開いたつもりだったけど、緊張で変に力が入ってしまった。

 ...ガラガラガラガンッッッ!!!

 大きな音を立てて扉は開いた。教室が一瞬静寂に包まれ、教室にいた生徒たちは何事かと、一斉に僕の方を見た。

 僕はあまりの気恥ずかしさに首まで真っ赤にして、うずくまりたくなるのを必死に堪えて席に向かった。

(あぁぁぁぁぁ...、やっちゃったぁ。絶対に心象さいあくだぁ...!)

 席についてすぐ、僕は机に突っ伏した。涙で潤んだ目を隠すようにして、そっぽを向いた。

 僕が落ち込んでいると、ぞろぞろと教室に人が入ってきた。友だち作りも忘れ、この現実から逃げるようにトゥイッターを開き、身を潜める。

(最近やっているソシャゲの情報が更新されてないか確認しよう...)

 ...なんだ。笑いたきゃ笑えよ。出遅れた上にネットに逃げる弱虫をよぉ...(泣)

 だれに向けるでもない言葉を心のなかで呟いて、ネットに沈んでいく。上にスクロールしていくと、30分前にツイートされた記事があった。そこには、ハーフアニバーサリー!記念ショップ開催!SSRキャラ排出率2倍!さらに、5,000ジェムプレゼント!と、書かれていた。

 まじかっ!急いでアプリを開こうとしたとき、悲劇は起こった。

 ーーープツッ。

 急にスマホの画面が真っ暗になった。異世界転生くるか...!?と淡い期待を抱かないでもなかったが、ただの充電切れだった。

 しかし、いまこの場では、ただの充電切れが最悪のシナリオだった。

 先程のツイートは、三日前のツイートのリツイートだったのだ。期間は今日の15時まで。入学式の今日は早帰りでも14時10分下校。家までは上手く乗り継いで40分プラス徒歩10分。

 む、無理だ...。どうやても15時までにかえれない...ッ!!

 僕が絶望に暮れ、真っ黒な画面を見つめていたその時、横から声がかかった。

「充電器、使う?」

 穏やかな笑みをたたえ、片手にモバイル充電器をこちらに差し出す爽やかイケメンくんがいた。

(神様は存在してたんだなぁ...)

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