第2話 登校

 僕、霜月深雪は今日から薔薇園高等学校に通う高校1年生だ。真新しい制服に身を包み、清々しい気持ちで正門をくぐった。...のだが。

(え、え~なにこれ、みんな顔面偏差値高すぎない?美男美女しかいねぇ...)

 僕の高校生活は開始早々に幕が下ろされたらしい。みんなキラキラしてて、僕だけ場違い感が凄まじかった。2,3年生は部活の勧誘で新入生に話しかけていた。

 ......。僕、一度も声、かけられてないんですけれども。悲しくない。全然悲しくないから、溢れそうになってる涙よ引いてくれ。

 そんなことを考えながら昇降口を目指して歩いてると、1つ気付いたことがあった。それは、誰も1人で行動していない!

 校門から登校してくる生徒はだいたいペアで歩いている。そして、すでに登校している人たちはグループをつくって話に花を咲かせている。

(出遅れた...)

 もうすでに完成しているグループに入るのはなかなかに勇気がいる。僕にそんな度胸なんてない。

(だれか話しかけてくれないなぁ)

 はぁ...。

 深いため息をこぼし、指定された靴箱に手をかけた。この学校の靴箱には扉はない。だから、だいたいどのくらい教室に向かったのかがわかる。現時点では、3割の靴箱がうまっている。

 僕はその3割と仲良くなれることを祈りつつ教室に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る